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競馬を続けるために(2)

  • 2011年10月07日(金) 18時00分
 前回のこのコラムでは、名古屋競馬の関係者が、廃止の危機感から「名古屋競馬の未来…」(http://nagoyakeiba.info)というホームページを開設したことを紹介した。そして競馬を続けていくためには、地域の人に競馬場の存在を認識してもらい、足を運んでもらうこと、さらには競馬場がその地域に必要な存在であると思ってもらうことも重要と書いた。

 では、競馬に興味のない人に競馬場に来てもらうにはどうしたらいいか。これには、すでに各地の競馬関係者が取り組んでいる、参考となる事例がたくさんある。

 高知競馬では「けいばじょうでえんそく!」というプロジェクトが行われている。競馬の非開催日に、市内や近隣の小学校、幼稚園、保育園などに、主に遠足の目的地として競馬場を利用してもらおうというもの。

 競馬場はとにかく広い。たとえば小学校の1クラスや1学年がまとまって来てものびのびとできる広さがある。それに何より安全だ。完全に囲われた空間なので、車などの交通を心配することもないし、門を閉めてしまえば外部から人が入ってくることもない。広い場所で子供達を自由に遊ばせることができる。

 さすがにサラブレッドは無理だが、ポニーなどと触れ合うようにできれば、子供たちは喜ぶだろう。実際に高知競馬では乗馬体験やニンジンのえさやりができた(現在は休止している)。

 小さい頃に競馬場で遊んだという経験は、楽しい思い出として記憶に残るだろう。さらに、保育園や幼稚園などの遠足なら、おそらく親も一緒だろう。こうした機会があれば、それまでは競馬と無縁だった親の世代にも競馬や競馬場を身近に感じてもらえるに違いない。

 ばんえい競馬には、旧パドックを改修した「ふれあい動物園」がある。そこには何頭かのポニーがいるほかに、帯広市の職員として採用された、元ばんえい競走馬リッキーとミルキーの家があり、常に馬と触れ合うことができる。

 ばんえい競馬が廃止になりかけたときに存続運動の先頭に立った有志が中心になって設立されたNPO法人「とかち馬文化を支える会」による活動も盛んだ。調教師、騎手とともにリッキーやミルキーを小学校などに連れて行っての出前授業などは、地域との結びつきを密接なものにしている。

 また、ばんえい十勝のホームページには「修学旅行のご案内」というリンクがあり、児童・生徒の社会見学の訪問を受け入れている。これは帯広市から主催業務を委託されている、オッズパークばんえいマネジメントの取り組みだ。

 ここで紹介した高知競馬やばんえい競馬は、ともに一度は廃止の瀬戸際まで追い詰められたものの、一転して存続となった競馬場だ。馬券の売上げをアップする以外に、競馬を続けていくにはどうしたらいいか、そうした危機感が、こうした活動の原動力となっているであろうことは間違いない。

 今、地方競馬はどこの競馬場でも、程度の差こそあれ、生き残っていくために関係者は必死の思いだろう。こうしたさまざまに行われている活動の情報交換を行うための全国ネットワークのようなものはできないものだろうか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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