今秋、ローズSを控えた週のコラムにも書いたが、クロフネは完全に「メス血統」の特徴を見せている。
中央の重賞(地方の交流G競走も含む)を勝った産駒は、これまでに9頭いるが、このうち牡馬は初年度産駒のフサイチリシャール(朝日杯FS)だけ。残りの8頭はみな牝馬である。
10月2日、スプリンターズSで香港、シンガポールの強豪を破り、GI初挑戦でいきなり勝利したカレンチャンも牝馬だ。クロフネ産駒としては3年前のスリープレスナイトに続く、2頭目のスプリンターズS制覇となった。
クロフネは毎年、2歳戦に何頭かの素質馬を送り込み、その勢いをクラシックに持ち込むパターンが多い。今年も10月半ば現在、2歳戦でアラフネ(すずらん賞)、ピーエムデメテル(芙蓉S3着)が頭角を現しているが、どちらもやはり牝馬だ。
思えばホエールキャプチャも昨年10月の芙蓉Sを勝ち、続くファンタジーS3着、阪神JF2着。その勢いをクラシック戦線に持ち込んで、クイーンCを勝ち、桜花賞2着、オークス3着の成績を残した。
阪神JFはレーヴディソールに0秒1差の2着、桜花賞もマルセリーナに0秒1差の2着。オークスもエリンコートからクビ、ハナ差の3着という惜敗だった。世代の一線級と戦いながら大くずれが一度もなく、つねに優勝争いを繰り返してきた。
曾祖母のタレンティドガールはオークス3着の無念を、秋のエリザベス女王杯で晴らしている。祖母エミネントガールの父ナシュワンも、欧州の名ステイヤーで成長力にも富む。そこに稀代の名種牡馬サンデーが入った母系だけに、まだ上積みは見込める。
ただクロフネ産駒はパワーで押し切るタイプが多く、ホエールキャプチャもこの特徴を受け継いでいる。ゴール前、早目に抜け出したところを、末脚が切れるタイプに再び屈するかもしれない。マルセリーナ以下、切れる馬には注意しておきたい。