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荒尾のその後は

  • 2011年11月04日(金) 18時00分
 荒尾競馬の閉幕が近づいてきた。この原稿が公開される11月4日を含めると、11月に5日間、12月に5日間の開催を残すのみ。

 園田のサブ的な位置づけで開催日数も少ない姫路を別とすれば、現存する地方競馬の中で、荒尾は足を運ぶ回数がもっとも少なかった競馬場だったかもしれない。2年か3年に1回、そんな程度だったような気がする。

 2001年の中津以降、廃止された競馬場があった街には足を運ぶことがなくなっている。宇都宮などは地理的にそれほど遠くないので、何か機会がありそうなものだが、盛岡や水沢に行く時に新幹線で通過するのみだ。宇都宮競馬場に行った帰りには、必ずといっていいほど餃子屋さん巡りをしたものだが、さすがに今、餃子を食べにだけ行くということはなく、それでも当時を懐かしんで、宇都宮の某有名店の餃子は何度かネット通販で取り寄せて食べた。

 荒尾も、競馬場がなくなればおそらく二度と足を運ぶことがない街になってしまうんだろうなあと思うと、ちょっと寂しい。

 つい最近、荒尾駅の近くにおいしい鰻屋さんがあることをネットで知った。なぜ今まで誰も教えてくれなかったのだろう。ま、そういう店は自分で積極的に探せという話だが。荒尾に行くときは、泊まるにしてもいつも博多だったから、たぶん食べもの屋さんを探すことは放棄していたんだと思う。

 荒尾には、最終日には行こうと思っているのだが、それは日常の荒尾競馬場ではないので、それ以外に重賞も何もない開催日にもう一度行っておこうと思っている。件の鰻もしっかり味わっておこうと思う。

 荒尾で競馬が開催されるのは、12月23日が最後となるが、それで荒尾競馬場がきれいさっぱりとなくなってしまうわけではない。報道によると、とりあえず来年度(2012年4月以降)も土地の賃貸契約は継続されるそうだ。賃貸契約を解除する場合は建物などを取壊して更地にする必要があり、それに時間がかかることが理由のひとつ。もうひとつは、厩舎団地に住む関係者の全員がすぐに引っ越すことが困難ということもある。

 ご存知のとおり、地方競馬の会計年度は4月から翌年3月まで。12月23日以降の荒尾競馬はどうなるのだろう。

 2004年の大晦日で高崎競馬が最後となったときに、翌年3月までは同じ北関東の宇都宮競馬が開催していたので、宇都宮の最終日までは、高崎から出走する馬や騎手はいた。

 荒尾の場合も、3月までは荒尾所属として佐賀競馬に出走できるのかどうか。廃止後もどこかに移籍して競馬を続けたいという関係者のためにも、年度終りの3月までは佐賀で競馬が続けられるようにしてほしいと思うのだが、どうなのだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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