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日本で新旧英オークス馬対決を観戦

  • 2011年11月11日(金) 12時00分
 今年もエリザベス女王杯にスノーフェアリーがやってきた。残り1ハロンだけで、後続を4馬身も突き放した昨年の末脚は、まだ記憶に新しい。続く香港Cでも、凄まじい切れ味で強豪牡馬をねじふせた。

 英オークスと愛オークスを連覇した能力は、想像をはるかに超えるものだった。今年は5戦して未勝利だが、調教中に脚部不安を発症した後遺症が尾を引いていた。

 しかし、秋に入って凱旋門賞で3着になるなど、ここにきて復調気配が著しい。遠征競馬だけに何があるかわからないが、やはりこの馬を中心に据えるしかない。

 イギリスからはもう1頭、ダンシングレインが参戦してきた。今年の英オークス馬である。スノーフェアリーとはまだ一度も対戦しておらず、このエリザベス女王杯が初の対決となる。

 父は欧州におけるデインヒルの最高後継種牡馬として、このところ評価がうなぎのぼりのデインヒルダンサー。母の父も欧州の短中距離戦に強いインディアンリッジだ。力強いスピードの配合だけに、雨で馬場が渋れば面白いだろうが、スピードと決め手勝負の馬場は一抹の不安が残る。

 ホエールキャプチャは桜花賞2着、オークス3着、秋華賞3着と、すべてタイトルを逃してきた。しかし、決して力負けではない。それに、どんな展開でも必ず優勝争いに加わる堅実さは特筆もの。新旧の英オークス馬2頭を相手に、初戴冠のゴールを駆け抜けるシーンがあってもいい。

 サンテミリオンはオークスで同着優勝して以降の4戦が、すべて二桁着順。しかし前走の府中牝馬Sは、いくらか複調の気配が感じられた。オークスがフロックとも思えないし、血統的に早熟とも思えない。

 外人ジョッキーのワンツーがそう何回も続くことはないかもしれないが、ミルコ・デムーロの手腕に期待して、この馬を穴に買いたい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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