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本気で勝ちに来たデインドリーム

  • 2011年11月25日(金) 12時00分
 遠征馬の格というものが、ジャパンCはあてにならない。むしろ外人ジョッキーをピックアップして買ったほうが、よく当たる。近年、遠征馬の質が低下していたせいでもあるだろう。

 だが、今年は凱旋門賞馬のデインドリームが参戦する。勝ち方が実に鮮やかだった。雨が降らず、硬い馬場だったこともあって、凱旋門賞レコードという高速決着となった。

 過去、凱旋門賞馬はジャパンCに5頭が参戦し、エリシオが3着、モンジューが4着の成績を残している。日本の高速馬場に対応しきれず、最後の詰めを欠いた。しかし、善戦はしていた。

 デインドリームの血統構成じたいは、欧州の馬に特有のいわゆる「重たい血統」である。ただ父系のニジンスキー系、母の父デインヒルともに日本の競馬に実績があり、近親にもキンシャサノキセキ(高松宮記念2回)がいる。日本の競馬には対応可能とみる。

 しかも、エリザベス女王杯を勝ったあのスノーフェアリーに、デインドリームは凱旋門賞で5馬身以上の着差をつけて勝っている。その凱旋門賞は54.5キロの斤量だったが、ジャパンCはさらに軽い53キロで出走できる。対する古馬の牡馬は57キロを背負う。この4キロ差は明らかに有利だ。

 それに観光ではなく、本気で勝ちに来ている。凱旋門賞を勝つ前に、社台ファームの吉田照哉氏が所有権の半分を収得。アメリカのBCターフを見送り、ジャパンCに照準を合わせてきた。

 だが、好走の条件があまりにも揃いすぎている。それが、どうも引っかかる。過去、この手の馬に何度も裏切られてきた。そのトラウマの歴史がブレーキをかける。馬券の軸は、やはり日本馬のブエナビスタ、ペルーサあたりにしたい。

 デインドリームが勝つとしたら、あっさりだろう。だから、切り捨てるわけにはいかない。外人ジョッキーが乗る馬は、人気に関わらず押さえておこうと思う。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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