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園田のナイター問題(1)

  • 2011年11月25日(金) 18時00分
 園田競馬場では来年4月を目標にナイター開催を計画しているが、一部住民の同意が得られず、4月からのナイター開催は困難だと地元紙が伝えている。

 反対の理由として「周辺環境や治安の悪化」を挙げているが、いつの時代の話だという気はする。最近では競馬のみならず他の公営競技でもナイター化が進んでいるが、それで治安が悪くなったという話はまず聞いたことがない。たぶん治安の悪化などを挙げる人々は、競馬場には一度も足を運んだことがなく、そこが危険なところだと決めつけているのだろう。

 園田競馬場は住宅街のど真ん中といってもいい立地だが、ナイター競馬を行うことによって人通りが多くなり、むしろ犯罪などは起こりにくくなるのではないか。また普段から開催日の競馬場周辺には多くの警備員を配置しているだけに、治安という意味では開催中のほうが安全なのではと思えるほどだ。

 ま、そうしたことをここで訴えても、ナイター競馬に反対している人たちがここを読んでいるはずもないので、あまり意味はないのだが。

 ただそうした人たちを説得するためには、やはり地域住民対策を時間をかけてやる必要はあると思う。

 たとえば南関東では、ナイター開催をしている大井、川崎に加え、船橋でも年に一度、ファン感謝デーのようなイベントを大々的に行なっている。これは、競馬ファンに限らず、子供から大人まで楽しめるような、いわばお祭りだ。こうしたイベントは、競馬開催を続けていくため、地域住民の理解を得ることがひとつの目的で始まったらしい。

 そうえいば同じくナイター開催を望んでいる名古屋競馬では、23日の非開催日に「Thanks Horse Days in 名古屋 〜ホースセラピーなどの馬とのふれあいイベント〜」なるものが開催され、好評だったようだ。

 こうした機会に競馬に興味や理解がない地域住民にも競馬場に足を運んでもらい、競馬場は決して危険なところではないということを認識してもらうことは重要なことだと思う。

 園田競馬場では、非開催日にそうしたイベントをやっているという話は聞いたことがなかったのだが、念のため聞いてみると、唯一、盆踊りは行われているとのこと。ただそれを競馬主催者が積極的に宣伝するということはなく、つまりはファン感謝や地域住民対策という性格は薄く、ただ場所を貸しているだけというのが実情のようだ。

 競馬や公営競技は、やればやるほど儲かっていた時代なら、売上げの一部をじゃぶじゃぶと地方財政に流して道路でも学校でもつくってもらえばよかったが、今はどこもギリギリで、赤字を出しているとろなどは世間の厳しい目にさらされているような状態だ。ならば、少しでも地域住民に競馬場に親しみをもってもらい、さらには必要なものだと思ってもらえるような取り組みは必要のように思う。
(つづく)

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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