スマートフォン版へ

貢ぐ男の有馬記念

  • 2011年12月23日(金) 12時00分
 昨夜、有馬記念の予想会を兼ねた忘年会に出た。参加メンバーは8人。その中でペルーサを推したのは私1人である。

 ジャパンCの帰りに府中の飲み屋で、「ペルーサから買う人間は、その女に騙されているとも知らず、せっせと貢ぐ男に似ている」とこき下ろしたメンバーはいなかった。しかし、ここでは「血統的な根拠を示せ」と突っ込まれた。

 根拠も何も、父のゼンノロブロイは4歳時に天皇賞・秋、ジャパンC、有馬記念と古馬GI3勝を達成し、年度代表馬に選ばれた馬である。

 母系はアルゼンチンの名牝系で、母の全姉ディファレントは同国の3歳牝馬と古牝馬のチャンピオンに輝いている。母の父キャンディストライプスも同国のリーディングサイヤーである。その父系のブラッシンググルーム系も、日本の長距離に抜群の相性を示した血統ときている。

 血統ではなく、要は「馬に走る気があるかどうか」の問題なのだ。翌日、参加メンバーの1人から「君はペルーサに騙されている。早く目を覚ましなさい」と、まるで親が世間知らずの息子を諭すようなメールが入ってきた。

 しかし、ペルーサファンはこれぐらいのことではへこたれない。騙されているとわかっていても、せっせ、せっせと貢ぐ。

 有馬記念はその年の春に、勢いのあった血統がよく1年を締めくくる。今年、それに該当するのはステイゴールドとキングカメハメハだ。

 オルフェーヴルが三冠を達成した菊花賞は強いの一語だった。早めに先頭に立ち、レコードに近いタイムでそのまま後続の脚を封じ込んだスタミナは、母の父メジロマックイーン譲りのものだろう。菊花賞馬が有馬記念を勝った例も、過去には多い。

 キングカメハメハは種牡馬ランキングで断然の首位。秋のGI戦線は不振だったが、有馬記念はこういう血統も無視できない。トゥザグローリー、ローズキングダム、ルーラーシップはすべて押さえる。

 むろん、外人ジョッキーが乗る馬もすべて押さえる。レッドデイヴィスも気になる。買い目が多くなりそうだ。

【お知らせ】
『血統が語る真実』の次回更新は1/13(金)になります。ご了承の程よろしくお願い致します。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング