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荒尾最終日、その後

  • 2012年01月13日(金) 18時00分
 昨年の地方競馬でまず思い出されるのが、やはり荒尾競馬の廃止であろう。

 最終日となった12月23日は天皇誕生日の祝日だったこともあり、8935名もの入場があった。普段の荒尾競馬の入場人員が1000人前後だったことを考えると、たいへんな数だ。

 その最終日からしばらくして、荒尾競馬の公式サイトがどうなっているか気になったので見てみると、感心することがいくつかあった。

 まずは荒尾競馬の最終日の様子をしっかりと伝えていたこと。「【フォトレポート】12月23日荒尾競馬最終開催日」として、最終日の開門から、馬場開放が行われた日没まで、印象的な場面が写真で紹介されていた。

 さらに、「荒尾けいば最終日の模様をYouTubeで公開しました。」というのもあった。最終レースや、その後に行われたセレモニーの様子がYouTubeにアップされ、それが見られるようになっている。フィナーレイベントの様子などは貴重なものなので、まだご覧になっていないという方は、ぜひご覧いただきたい。

 そしてもうひとつ。ほんとうに感心したのは、実はこちらのほうなのだが、「入厩・退厩情報を掲載しました。」とあり、在籍していた馬すべての行き先が明らかにされたことだ。

「退厩先」の欄には、多くが移籍先の競馬場名が書いてあるのだが、そのほかに「牧場」「繁殖」「乗馬」などという表記もある。一部空白になっている馬は、おそらく処分されてしまったのだろう。その空白の馬が、思っていたより少ないのでちょっと安心した。

 2001年の中津から05年の宇都宮まで、地方競馬ではいくつもの競馬場が廃止になったが、最終日のこと、そして今後のことまで、主催者がこれほどきちんとフォローしたのは初めてではないだろうか。特に地方競馬では、引退する馬の行き先などは、うやむやになってしまうことが多い中、1頭1頭の行き先をきちんと紹介したことは評価できる。

 話は変わるが、24日に川崎競馬場で行われる佐々木竹見カップジョッキーズグランプリの出場騎手が12日に発表され、その中に「杉村一樹(川崎/旧荒尾)」という表記があった。

 南関東枠は4場各1名ずつが別に発表されているが、杉村騎手はすでに移籍している川崎の枠ではなく、形式としては荒尾枠として選ばれたようだ。なかなかに粋な計らいだと思う。

 杉村騎手だけでなく、荒尾から移籍した騎手は、すでに新たな戦いがはじまっている。活躍に期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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