前走が10着以下だと、馬券は買いづらい。だが、そこに落とし穴が潜むことを、『2012中央競馬全重賞データバイブル』(メディアックス刊)は教えてくれる。有馬記念のページをめくると、こう書いてある。
「リピーター(何度も好走する馬)が多いのも有馬記念の特徴。タップダンスシチーやシンボリクリスエスなど多くの馬が2回以上連対していて、過去ではナイスネイチャが3回連続3着。ダイワメジャー、エアシェイディも2年連続3着。昨年好走馬には注意」
なるほど、これを頭に入れておけば、昨年の有馬記念でトゥザグローリーの3着は予測できた。一昨年、14番人気でハナ、クビ差の3着に入り、3連単、3連複の穴をあけた馬である。
すると昨年も9番人気で3着に入り、またも穴をあけた。春の天皇賞、宝塚記念がともに13着。休養して復帰戦の天皇賞・秋が5着、続くジャパンCが11着。これですっかり人気を落としていた。しかし、過去のデータを信じてオルフェーヴルを1着に、トゥザグローリーを3着に固定し、2着馬を総流していたなら、8万円弱の3連単、2万5000円弱の3連複が楽に取れたことになる。
そのトゥザグローリーが先週の日経新春杯を、58.5キロのトップハンデをものともせず快勝した。先の『2012中央競馬全重賞データバイブル』によると、日経新春杯は「ハンデ57キロ以上の実績上位馬は総じて不振」とある。したがって過去のデータが通用しなかったことになるが、裏を返せばそれだけトゥザグローリーの潜在能力が高いことの証明でもあるだろう。
父のキングカメハメハは2年連続のリーディングサイヤーに輝いた。しかし今年はディープインパクトの猛烈な追い上げが予想される。それだけにトゥザグローリーの復活はうれしいかぎりだ。今週のアメリカJCCに出走するルーラーシップも復活するなら、ディープインパクトとのリーディングサイヤー争いは、最後の有馬記念までもつれ込むことになるかもしれない。