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2歳女王は何処に?

  • 2012年01月20日(金) 18時00分
 少し前の話題になるが、大みそかの東京2歳優駿牝馬で2011年のグランダム・ジャパン2歳シーズンが終了した。

 このシリーズが始まったときにも指摘したように思うのだが、2歳シーズンだけは、企画としてやはり厳しいように思う。

 昨年、2歳シーズンで優勝したのは、川崎・ローレル賞2着、大井・東京2歳優駿牝馬3着で計17ポイントを獲得した大井のショコラヴェリーヌ。昨年の2歳女王がこの馬でないことは、誰の目にも明らかだろう。

 シリーズで勝ち星がなかった馬が優勝したばかりか、2〜5位が12ポイントで並んだように、獲得ポイントが低い中での争いは、やはり微妙だ。

 原因としては、このシリーズで上位を狙うとすればある程度の遠征が強いられるということがまずひとつ。2歳の時期から何度も他地区へ遠征というのは、やはり難しい。ショコラヴェリーヌは他地区への遠征がなく、しかもシリーズで勝ち星がなかったにもかかわらず優勝できたのは、その問題点のひとつを示している。ちなみに一昨年は最終戦の東京2歳優駿牝馬を勝ったクラーベセクレタが優勝し、同3着だったマツリバヤシが2位だったが、ともに道営所属馬としてエーデルワイス賞でポイントを稼ぎ、南関東へ移籍して最終戦を迎えた。現行ルールで続ける限り、2歳シーズンはこのパターンの馬が優勝もしくは上位となる可能性が高い。ポイントの高い2レースともホームで戦えるのはきわめて有利だ。逆にそれ以外の地区の2歳馬にとっては、地理的にかなりのハンデを背負うことになる。

 そしてもうひとつの原因は、2歳時は牡馬との力差が少なく、牡馬との対戦で活躍する牝馬も少なくないということ。牡馬との対戦では、いくら強いレースをしてもグランダム・ジャパンのポイントにはならない。昨年、NARグランプリ2011で2歳最優秀牝馬となったエンジェルツイートがこれにあたる。また12ポイントタイで5位だったドラゴンシップもハイセイコー記念を勝っていた。ローテーション的に牝馬限定戦のみを使うことが難しい2歳シーズンでは、牡馬との重賞でもポイントを与えるなどしないと、昨年のように「ほんとうに強い2歳牝馬は別にいる」という状況になってしまう可能性が高い。

 念のためフォローしておくと、グランダム・ジャパンのシリーズ全体を批判しているわけではない。特に古馬シーズンに関しては、このタイトルを目指して各地のチャンピオン級の牝馬が積極的に遠征するようになり、そうした馬たちの対戦は興味深い。このシリーズに組み入れられている牝馬限定重賞が、レベルの高い争いになっていることも確かだ。

 それゆえ、そうした古馬シーズンの盛り上がりに対して、強い牝馬を決めるシリーズとして盛り上がりに欠ける2歳シーズンは、なんとも残念。2歳シーズンは休止にするか、もしくはルールを変える必要があるように思うのだが、どうだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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