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中央地方の相互発売

  • 2012年01月27日(金) 18時00分
 ウインズ浦和が2月19日にオープンする。オープンといっても、ウインズ川崎と同様に、浦和競馬場でJRAの馬券を発売するときだけ呼び名が「ウインズ浦和」に変わるだけだが。

 ぼくは生まれてこのかたずっと埼玉県民なのだが、埼玉県内でJRAの馬券が買えるようになるのはこれが初めてなので、ちょっと感慨深い。

 ぼくが競馬をはじめてからいつの間にか20年以上も経ってしまったのだが、はじめた当時は当然のことながら中央と地方の区別もわからず、「浦和競馬場で日本ダービーの馬券は買えるんだろうか」などと真剣に疑問を持ったりしたものだった。

 当時はJRAの馬券を買おうと思えば、後楽園か浅草のウインズまで車か電車で片道1時間以上。そしてダービーともなればウインズの窓口は長蛇の列。馬券を買うだけで1時間以上並ばされたのも、今となっては懐かしい。

 そういうわけで、浦和競馬場でのJRAの馬券発売にはちょっと思うところがあるのだ。とはいうものの、その当時に浦和競馬場でJRAの馬券を売ってくれていれば大ヨロコビだったのだが、パソコンや携帯から気軽に馬券を買えるようになった今となっては、ありがたみはほとんどない。

 しかし思えば、中央・地方の相互発売はもとより、地方同士の相互発売ですら、なぜもっと早くできなかったのかとは思う。中央も地方も、未来永劫馬券の売上げはどんどん増え続けるんじゃないかと思わせた時代(ホントにそんな時代があったんです)になぜできなかったのかと。ま、当時は自分のところの馬券だけ売っていればウハウハ儲かったのだから、そうしたところまで考えが及ばなかったのだとは思うが。

 このタイミングで地方の競馬場で次々とJRAの馬券が買えるようになってきているのは、地方競馬で共同のトータリゼータシステムが導入されることになったのがきっかけ。地方競馬のマークカードが順次、地方の全競馬場のマーク欄がある全国共通のものに変わってきているのは、そのためだ。

 そして地方競馬でJRAの馬券が買えるようになるだけでなく、今年からJRAのPATなどでも、ダートグレード競走を中心に地方競馬の馬券も買えるようになっていく。

 会員数が圧倒的に多いJRAのシステムでも地方の馬券が買えるようになれば、売上げが一気にアップするというような論調もたまに見かけるが、正直なところ、そんな甘いもんではないと思う。

 たしかにJRAの有力馬が出走する一部のダートグレードなどは売上げがアップするだろうが、それが年間の総売上に対していきなり効果がでるほどになるものかどうか。たしかに今まではJRAと地方競馬の馬券発売システムはまったく別だったが、ネット銀行の口座を持っていれば、簡単な手続きでJRAの投票会員にも地方の投票会員にもなることはできた。ある程度興味があるファンは、すでに双方の馬券を買っているのではないかと思う。

 馬券を買うための窓口が共通になったとしても、中央と地方の間には、それでもなお意外に高い壁が存在していると思うのだが、どうだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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