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ディープインパクト2年目産駒の大変身

  • 2012年02月10日(金) 12時00分
 先週のきさらぎ賞は、ディープインパクト産駒が3着までを独占した。3歳世代の重賞勝ちは、これで6頭目になる。

 初年度にがっかりさせておいて、2年目に大変身するのは、サンデー系のお家芸みたいなもの。初期から中期にかけてのSS後継種牡馬は、フジキセキ、アグネスタキオンに代表されるように、ほとんどがこの特徴を示した。

 近年、ネオユニヴァースやゼンノロブロイが、初年度産駒から大物を出したことで、それも解消されたかに見えたが、どっこいそのお家芸は生きていた。

 ディープインパクトに集まった配合牝馬の質は、初年度も2年目もさほど変わらない。それでいて産駒の質がこうも違うのは、後天的な要素、つまり育成、調教、使い出し、ローテーションといったものが深く影響しているだろう。

 サンデーの後継種牡馬は、それぞれタイプが違う。このためサンデー産駒をイメージして、同じ育成、調教を施しても、それが合うとは限らない。どの種牡馬も初年度産駒は手探り状態だが、この見立ての間違いこそが、サンデー系のお家芸をつくり出していったように思う。

 換言すれば、2年目産駒の大変身は、その初年度産駒の失敗の教訓が、フルに生かされた証しでもあるのだ。

 今週の共同通信杯にも、17頭の登録馬のなかにディープインパクト産駒が4頭いた。回避馬が続出して、最終的に11頭に落ちついたが、ディープインパクト産駒のディープブリランテ、エネアド、アーカイブ、スピルバーグの4頭は、みな出走を表明している。

 暮れから続くディープインパクト産駒の猛威に、他の陣営は「勝ち目なし」とみて、早々と回避を決め込んだのかもしれない。

 今週も産駒が活躍するなら、今年のクラシックはディープインパクトのためのレースとなっていくだろう。層の厚さ、レースぶり、母系血統の質の高さ、何もかもが他の産駒とは違っている。

 スピルバーグは格下ながら、トーセンラー(きさらぎ賞)の全弟。スタートに難があるが、長くいい脚を使う。評判だおれの馬なのか、それとも評判どおりの馬なのか。ここが大きな試金石となりそうだ。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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