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金沢のJBCを考える

  • 2012年02月17日(金) 18時00分
 2013年のJBC開催場が金沢と発表された。たしかこのコラムで以前に書いたような気がするが、これまでにJBCを開催したことがない競馬場で、新たにできるところがあれば、コース形態や競馬場の施設的に、佐賀か金沢であろうと。どちらかといえば100万都市・福岡からわりと近い佐賀競馬場に可能性があるのではないかと思っていたのだが、ちょっと以前に金沢がJBC開催に立候補しているらしいと聞いていたし、さすがに船橋、大井、そして今年の川崎と南関東が3年続いたので、金沢と発表されたときはなるほどと思った。

 実際に開催されるのはまだ1年以上先のことだが、GI・JpnI級の大レースが開催されたことのない競馬場だけに懸念材料も少なくない。

 課題は3つ。無料送迎バス、馬券発売窓口、場内の飲食施設だ。

 金沢競馬場は、自家用車やバイクなどを利用する地元ファンを別とすれば、多くのファンは金沢駅から出ている無料バスを利用することになるだろう。第2回JBCが盛岡競馬場で行われたとき、盛岡駅では普段のバス乗り場ではなく、臨時の乗り場が設置されたように、金沢でもそうした場所を確保する必要があるだろう。またレース終了後の帰りのバスも相当数走らせる必要がある。

 もっとも心配されるのが馬券発売窓口だ。金沢競馬場は、現在ではかなりの窓口が閉鎖されてしまい、休憩所などに変わっている。JBCの日だけ馬券発売機を臨時に増設するということもできないだろうから、さばききれるのかどうか。名古屋で初めてJBCが行われた第5回のときは馬券窓口が長蛇の列となって、かなり売り残しがあったと思われる。当時、とても列に並んでいる時間はないので、ぼくは競馬場にいながらパソコンで馬券を買った記憶がある。金沢でも、できれば携帯電話やスマートフォンで投票できるような準備をしておくおのがいいかもしれない。ただ、限られた敷地に過去にないほどの人が集まるのは確実なだけに、携帯電話の通信状況が悪くなるなんてことも否定できない。

 個人的にがんばってほしいと思うのが、場内の飲食店だ。またこれも名古屋で最初にJBCが行われたときのことになるが、場内の飲食店がどこも大行列だったので、昼飯は競馬場の外に出て正門の斜め向かいにある牛丼チェーンで食べた。名古屋競馬場は、その牛丼チェーンのほかにも徒歩で行ける圏内にファミレスや蕎麦屋や焼肉屋などがあるから、それでかなり対処できたと思うが、金沢競馬場は周辺に飲食店はまったくない。ゆえに場内だけで対処する必要がある。場内の常設店舗は、正門を入ったところとパドック奥に数店舗あるが、いずれもカウンターのみで10人ほども入れば満員になってしまう。あとはスタンド内に食堂が2店舗あるが、一度にそれほど多くの人数には対応できないだろう。

 しかし幸いにも金沢競馬場には正門を入ったところに広いスペースがある。おそらくそこに臨時の店舗が設置されるのではないだろうか。以前にも書いたとおり、JBCであればこそ、全国各地の競馬場内グルメを提供することはできないものだろうか。船橋でも大井でも、盛岡のジャンボ焼き鳥は大好評だった。ほかにも川崎のスパイシー焼きそばだとか、笠松・名古屋のどて煮だとか、園田・姫路のタコ天だとか、福山の尾道ラーメンだとか、佐賀のなんでも焼いちゃう店だとかが一堂に会したら、すごく楽しいと思うんだけどなあ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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