スマートフォン版へ

ゴールドシップに新たな夢を

  • 2012年02月17日(金) 12時00分
 ディープインパクトの勢いが止まらない。ヴィルシーナが先週のクイーンCを勝ち、3歳世代の重賞勝ち馬は、まだ2月の半ばだというのに、早くも7頭になった。

 翌日の共同通信杯では、ステイゴールド産駒のゴールドシップに勝たれてしまったが、2着のディープブリランテ、3着のスピルバーグはディープインパクト産駒だ。その層の厚さは際立っている。

 500万クラスも素質馬が目白押し。勝ち上がったばかりでもトライアルで好勝負するから、本番の桜花賞、皐月賞には、大量のディープインパクト産駒が出走することになるだろう。

 そんなディープインパクト一辺倒のクラシック戦線に、共同通信杯で一矢を報いたゴールドシップ。父ステイゴールド×母の父メジロマックイーンの配合の重賞勝ちは、ドリームジャーニー(有馬記念)、オルフェーヴル(三冠馬)の兄弟、フェイトフルウォー(セントライト記念)に次いで、これで4頭目になる。

 前記3頭の毛色は、ドリームジャーニーが鹿毛、オルフェーヴルが栗毛、フェイトフルウォーが黒鹿毛。だが、ゴールドシップは芦毛に出ている。

 母ポイントフラッグの芦毛を受けたものだが、むろん、それはメジロマックイーンが伝えたもの。芦毛馬による天皇賞の父系4代制覇は絶望的となったが、その血を母系に配したゴールドシップが、新たな夢をつないでくれるかもしれない。

 母系のベースが星旗系というのも、泣かせる。戦前、小岩井牝系と覇を競った下総御料牝系だ。この星旗系から出たハクチカラは、1956年のダービーを勝ち、アメリカ遠征でも重賞を勝って、日本馬の海外遠征の草分け的な存在となった。

 社台グループの生産馬が多数を占め、「身内の運動会」と化した今日のクラシック。これで健全な競馬が維持できるはずも、盛り上がるはずもない。ゴールドシップのような馬が、あともう少し出てくれればと思う。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング