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母ダンスパートナーの良血が覚醒

  • 2012年03月02日(金) 12時00分
 中山記念のフェデラリストは強かった。母のダンスパートナーはサンデー初期の代表産駒で、オークス、エリザベス女王杯を勝った名牝である。

 むろん、母親としても大きな期待がかけられたが、ついてないことに当時は、非サンデー系の大物種牡馬が不作の時代だった。ダンスパートナーも、繁殖入りして初年度から2年連続で、凱旋門賞馬のエリシオを相手にしている。

 このエリシオが期待外れもいいところ。優秀なサンデー牝馬の多くをダメにすることになった。だが、ダンスパートナーで注目すべきは、エリシオとの配合で産んだロイヤルパートナー、ドリームパートナーが、ともに特別戦を勝つところまでは出世していた点だろう。

 また、3番仔のダンスオールナイト(父エルコンドルパサー)も、GIIIの中山牝馬Sで3着に入っていた。つまり配合しだいでは、大物を出す雰囲気があったのである。

 父のエンパイアメーカーは昨年、アメリカに残してきた産駒が大活躍。ロイヤルデルタが米3歳牝馬チャンピオンに輝き、2歳戦でもグレースホールがGIのスピナウェイSを勝ち、BCジュヴェナイルフィリーズで2着となった。

 これ以前にも、アメリカではGI勝ち馬が5頭誕生しており、日本への売却が惜しまれている。全GI勝ち馬7頭のうち6頭が牝馬だが、唯一の牡馬であるパイオニアオブザナイルは、中距離GIを2勝し、ケンタッキーダービーでも2着となっている。

 この父が配合相手なら、フェデラリストがここまで成長したのは当然と言えるかもしれない。中山記念はトゥザグローリー、リアルインパクトら骨っぽいメンバーが揃っていた。それらをひとまとめに差し切ったのだから、これはもう良血馬が「覚醒モード」に突入したと考えるべきだろう。

 ダンスパートナーとミスタープロスペクター系種牡馬の相性の良さも、これではっきりした。キングカメハメハとの間に生まれた2歳、1歳のデビューが今から楽しみである。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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