阪神大賞典のオルフェーヴルには驚いた。勝負時に競走をやめ、先頭から最後方まで下がって故障かと思いきや、離れた外ラチ沿いから再び猛ダッシュ。短距離戦なみの加速で先頭集団に追いつくと、直線も長い脚を使って、勝ったギュスターヴクライに最後まで食らいついた。
長い競馬歴のなかで、下級レースならいざ知らず、重賞レースでこんな馬を見たのは初めてだ。頭の構造が尋常ではないのかもしれないが、競走能力も尋常ではないことが、これではっきりした。
翌朝、テレビのワイドショーはこの話題で持ち切り。スポーツ新聞も一面で大きく取り上げた。三冠を獲ったときよりも、世間の注目を集めたのではないだろうか。
単勝を買った方には申し訳ないが、これだけの話題を提供してくれた馬は、久々のような気がする。この先もヒヤヒヤ、ドキドキさせて、今の優等生的なマンネリ競馬に活を入れてほしい。
ディープインパクト産駒で注目の集まるクラシック戦線は、若葉Sをワールドエースが快勝。スプリングSもディープブリランテが2着して、何とか面目を保った。
だが、ディープインパクトには敵が多いことも、フラワーC、スプリングSで浮き彫りにされた。勝ったオメガハートランド、グランデッツァは、ともにアグネスタキオン産駒である。
ディープインパクトの種牡馬入りによって、エース級の繁殖牝馬を横取りされてしまったアグネスタキオン。その鬱憤を晴らすべく、虎視眈々とクラシックを狙っている感じがする。
今春のクラシックは牡馬も牝馬も、ディープインパクト産駒優位の状況は変わらないだろう。しかし、アグネスタキオンだってダイワスカーレット(桜花賞)、ディープスカイ(ダービー)、キャプテントゥーレ(皐月賞)らを出している。
本番でディープインパクトの足元をすくうとしたら、案外、このアグネスタキオンあたりかもしれない。