地方通算4127勝を挙げた岩手の菅原勲騎手、同じく2743勝を挙げた金沢の中川雅之騎手の引退と、調教師免許試験の合格が発表された。
しかし近年では、南関東や兵庫など、賞金レベルが高い地区以外での新規調教師はかなり少なくなっている。
実際に、昨年1年間で調教師免許を受けたのは、南関東11名、兵庫3名、岩手2名、北海道、愛知が各1名となっている。
南関東や兵庫以外で厩舎の新規開業が少なくなっているのは、賞金がギリギリまで下げられ、競馬自体の運営が厳しくなっていることが大きな要因として考えられる。そうした競馬場では、そこそこの成績を残している騎手でも調教師にはならず、騎手を続けるというような考えもめずらしくない。
このままでは、小さな競馬場ではそうしたことが原因で競馬の運営が行き詰まる可能性がないといえなくもない。
一方で、南関東の3歳重賞戦線で活躍している馬の多くがホッカイドウ競馬出身という現実もある。たとえば今年の浦和・桜花賞は1〜6着を道営デビュー馬が独占。中でも、角川秀樹厩舎の元所属馬が4頭出走していて、1、3、4、5着という結果は強烈な印象を残した。
地方競馬では、騎手に関しては、期間限定での他地区での騎乗や、重賞レースでは所属に関係なく騎乗できるなど、ここ何年かで行き来がかなり自由になった。
しかし調教師には、限られた交流競走以外は、なかなか他地区のレースを使える機会というのは少ない。
騎手と同様、調教師にもそろそろ他地区のレースにもある程度自由に出走できるようなしくみをつくってもいいのではないだろうか。
さらには、ある程度の成績を収めている調教師には、所属場以外の競馬場にも分厩舎のような形で馬を置いて競馬を使えるようなしくみはできないものだろうか。
現状、ホッカイドウ競馬に所属する調教師は、強い2歳馬をつくればつくるほど、シーズンが終わればJRAや南関東への移籍が避けられない。たとえば南関東に分厩舎を認めることによって、ホッカイドウ競馬の調教師の管理下のまま、南関東の3歳クラシック挑戦というようなことができてもいいのではないだろうか。
そうすることで、南関東や兵庫以外でも調教師になろうという人は増えてくるはずだ。
地方競馬を全体で活性化させるためにも、調教師も所属場に縛られず、全国のレースを自由に使えるようなしくみを徐々にでも広げていく必要があるように思う。