ハナズゴールが勝ったチューリップ賞。タイムは、その一つ前に行われた古馬の準オープン、武庫川Sとほぼ同タイムだった。それでいてラストの1ハロンは、武庫川Sで最速のデンコウジュピターより、0秒7も速い。
この内容から判断する限り、ジョワドヴィーヴル、ジェンティルドンナら有力馬の凡走による、棚からぼたもち的な勝利ではなかったように思う。
問題は、血統だった。出走メンバーでは最低ランクに位置し、曾祖母までの3代ファミリーは、あきれるほどスカスカの状態。今どき、地方競馬でもこれほど貧弱な母系は、なかなかお目にかかれない。
母の父シャンハイにしても、仏2000ギニー(皐月賞に相当)の優勝馬だが、中央競馬の芝で重賞を勝った産駒は皆無。ブルードメアサイヤーとしても、地方競馬のかなりマイナーな重賞の勝ち馬がほとんどである。
一方、父のオレハマッテルゼもサンデーの後継種牡馬ではあるが、GI勝ちは高松宮記念だけ。ディープインパクト以下、他の大物後継種牡馬に比べると、配合牝馬に月とスッポンの差がある。
だが、革命的な種牡馬の血がサラブレッド全体に行き渡るころになると、メジャー配合の間隙を縫って、この手のマイナー配合が時に浮上してくる。
日本もそんな時代を、そろそろ迎えようとしているのかもしれない。桜花賞はハナズゴールから買ってみようと思う…と書いたところで、桜花賞回避の知らせを受けた。
残念である。しかし出ない馬のことを、これ以上書いてもしようがない。となれば、中心はやはりディープインパクトの産駒たちだろうか。去年に比べて今年の2世代目は、明らかに能力が違う。2世代に大変身するのは、サンデー系のお家芸でもある。
ただアグネスタキオンも、今年の3歳は意外に粒が揃っている。ディープインパクトにエース級の繁殖牝馬をかなり横取りされた。その鬱憤を晴らすシーンが、あっても不思議はない。
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