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ダイヤモンドS

  • 2003年02月15日(土) 10時37分
 最近はすっかり3000m級のレースを歓迎するステイヤーは少なくなった。スピード系に中心が移ったのは世界の流れで仕方のないことだが、3000m級のグレードレースの価値が下がったわけではない。春の天皇賞を展望するとき、また幅の広い競走体系を築き上げることに成功した日本の競馬を考えると、ここで底力とスタミナあふれるエース格の誕生を期待したいところだ。

 5歳ダイタクバートラムはステイヤーズSで脚を余す形で2着。万葉Sを上がり33秒3で快勝。長距離界のトップに近づきつつある。ここはぜひ力強いレースをして欲しい。折り合い面の不安も解消しつつある。

 もう1頭、もっと長距離適性をもっていそうなのは同じ5歳スーパージーンだ。ここまで2200m以上の芝で[3-1-0-0]。距離延びるごとに強くなってきた。前走の2500m2分32秒7も価値がある。有馬記念のシンボリクリスエスが2分32秒6。レースの流れは少々異なったとはいえ、時計は互角。こちらは最後の1ハロン11秒6のラップが刻まれたところで一気に抜け、4馬身も差をつけたから立派だ。レース全体のバランスと、最後の爆発力では有馬記念を上回っている。57キロの別定戦だったから、「長距離戦こそ、そのレースの価値は走破時計だ」の鉄則に近い定義を当てはめてもいい。

 父サッカーボーイは菊花賞馬2頭を送るなど、スタミナを伝えること文句なし。注目は母方で、母の父パーシャンボーイ(宝塚記念)も長距離型。その前に配されているファインポート、マリーノも典型的ステイヤー型。

 珍しいことにこの牝系には長距離型の種牡馬以外は配されていない。それで現代のスピード競馬にもある程度対応できるのだから見事なものだ。今回は55キロの軽ハンデ。ここでキチッと勝てるなら、いきなり春の天皇賞の有力馬に浮上する。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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