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非競馬ファンへのアピール

  • 2012年04月20日(金) 18時00分
 4月22日(日)船橋競馬場では、「がんばろう千葉・がんばっぺ福島よさこいまつり」というイベントが行われる。船橋ケイバの公式サイトから、このイベントの趣旨について引く。

「これまで競馬場に来たことのない方にもまずは足を運んでいただき、競馬場に親しんでいただく機会を作ることが重要であると考え、『よさこいまつりin船橋競馬場』を企画いたしました」

 まさにこれこそが、厳しい経営を強いられる競馬場が、今後生き残っていくためのひとつの可能性ではないかと思う。

 これまでにも南関東の各競馬場では、騎手会や馬主会などが中心となって、ファンや近隣住民と交流を深めるようなイベントが行われてきたが、こうしたことは今まで以上に広く告知して大々的に行っていくべきだと思う。

 競馬場の近くに住んでいるにもかかわらず、競馬場に一度も足を踏み入れたことがないという人は、ぼくら競馬ファンが想像している以上にかなり多い。それどころか、そこが「危ないところ」だと思い込んでいるような人もまだまだ少なくない。

 そうした誤解を解くためにも、競馬以外にもさまざまなイベントを試みて、競馬に興味がないという人にも、とにかく競馬場に足を運んでもらえるような機会をつくることは大切なことだと思う。

 今のところ馬券の売上げにはなかなかつながらないとはいえ、それを積極的に行い、集客に成功しているのが、ばんえい十勝・帯広競馬場だといえるだろう。

 ばんえい競馬の場合、世界で唯一という特異性が大きなアドバンテージにもなっているが、旅行会社のツアーや、十勝地区の温泉宿の宿泊パッケージなどに組み込まれ、帯広競馬場には「初めて競馬場に来た」という観光客がかなり増えた。その全員がリピーターになるとは思わないが、競馬場にはのんびりできる広い空間があり、おいしい食べ物があるなど、親しみを持ってくれる人は少なからずいるだろう。

 今秋から園田競馬場ではナイター開催が計画されているが、一部近隣住民の反発はまだまだ収まっていないようだ。理由として挙げているのは治安の悪化。たしかに昭和の時代であれば、競馬場にも反社会的な人たちが出入りしていたかもしれないが、今の時代に競馬場があるから治安が悪くなるということはほとんど考えられない。

 競馬を知らない人にも競馬場に親しみを感じてもらい、近くに競馬場があってよかったと思ってもらえる人が増えてくれば、赤字だから即廃止という短絡的な考えも少なくなるように思うのだがどうだろう。そのためにも、競馬ファンでない人たちにも競馬場に足を運んでもらえるようなイベントは定期的にやっていくべきだと思う。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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