アイムユアーズの父ファルブラヴは、4歳時の2002年、中山のジャパンC(2200m)を名手デットーリに導かれて勝った馬である。ただ、それまではイタリアのGIしか勝っておらず、デットーリの腕のみがクローズアップされた感じだった。
しかし5歳になると、ジャパンCが実力の勝利であったことを証明する。英GIの英インターナショナルS(芝2100m)、エクリプスS(芝2000m)、クイーンエリザベスII世S(芝1600m)、仏GIのイスパーン賞(芝1850m)、香港GIの香港C(芝2000m)の5つもGI勝ちを収めたのだ。
米芝チャンピオン決定戦のBCターフ(芝2400m)でも3着に好走し、この5歳時の活躍が本物であったことを証明している。ジャパンCの勝利をバネに世界へ羽ばたいた、晩成の中長距離ランナーだった。
ところが、なぜか産駒は一様にスプリンターやマイラーばかり。産駒が勝った重賞も、この部門に集中している。おまけに仕上がりが早くて、早熟っぽいときている。競走成績と種牡馬成績が、これだけ正反対の種牡馬も珍しい。
アイムユアーズも2歳の早くにデビューし、1400mのファンタジーS、フィリーズレビューを勝ったが、マイルの阪神JFは2着、桜花賞は3着に敗れた。ファルブラヴ産駒に共通した「距離の壁」が見え隠れする。
桜花賞も手応えの割には、意外に伸びなかった。つねにトップクラスと戦い、差のない競馬をしてきた馬なのに、人気がないのはそのためだろう。
だが、曾祖母のダイナカールはオークス馬で、今日、万能の名牝系を築き上げている。そこにサンデー、エルコンドルパサーが入って、アイムユアーズが誕生した。
エルコンドルパサーはジャパンCを勝ち、凱旋門賞で歴史的2着した名ステイヤーである。サンデーは言わずと知れた名種牡馬で、配合相手のスタミナを引き出すことにも長けている。馬体は少し胴が詰まり気味だが、この母系ならオークスはこなすとみる。