スマートフォン版へ

出川龍一調教師の勇退

  • 2012年05月25日(金) 18時00分
 船橋の森泰斗騎手が、5月24日に地方通算800勝を達成した。

 700勝達成が昨年11月16日の平和賞だったから、ずいぶんあっという間だなあという気もするが、南関東のトップジョッキーともなれば年間200勝程度は挙げるから、100勝の区切りは半年程度で来るのは当然のこと。今年も南関東リーディングで戸崎圭太騎手に次ぐ2位につけている。

 森泰斗騎手は、デビューした足利、その後の宇都宮時代に重賞勝ちはなく、それでも宇都宮が廃止となる前年の2004年には栃木リーディングで6位、2005年は開催が2か月半しかなかったとはいえ、4位にまで躍進した。

 船橋移籍後も最初はさすがに苦労したが、2010年には113勝を挙げて船橋リーディング1位、南関東全体では6位となって一躍注目を集めるようになった。

 重賞初制覇は2010年8月、荒尾に遠征しての霧島賞(テイエムヨカドー)だから、その活躍にしては意外に遅かった。そして南関東での重賞初制覇は、通算700勝となった平和賞。今年も京浜盃をパンタレイで制するなど活躍している。

 これまで廃止になった競馬場からトップジョッキーが何人も南関東に移籍してきたが、もともと所属していた競馬場以上に活躍している騎手というのはごくまれ。そういう意味では、栃木時代はそれほど目立たず、激戦区の南関東に移籍してきてブレイクした森泰斗騎手の活躍は見事としかいいようがない。

 通算800勝のセレモニーは後日行われる予定となっている。

 一方で、同じ船橋の出川龍一調教師が、5月いっぱいで勇退することが発表された。今月はすでに船橋開催が終了していることから、5月20日、JRA東京競馬場に遠征したリリヤンが、管理馬として最後の出走となるようだ。ちなみにそのリリヤンの鞍上は森泰斗騎手だった。

 ちょっと違和感があったのは、森泰斗騎手の800勝セレモニーがあるのに、出川龍一調教師の勇退セレモニーは行われないの? ということ。計画されていればいいのだが、今のところ発表はない。

 出川龍一調教師といえば、ナイキアディライトで南関東二冠を制し、ほかにかしわ記念や日本テレビ盃を制すなど大活躍。さらに千葉県調教師会会長を11年も努められていた。それほど貢献した方のセレモニーが行われないとしたら、それはおかしくないか。

 これは船橋に限ったことではないのだが、ジョッキーは100勝区切りだとかの表彰が行われても、調教師はたとえば1000勝だとか2000勝だとかといっても表彰などが行われることは少ない。引退セレモニーも、騎手に比べて調教師に対して行われることは少ない。確かに競馬の花はジョッキーかもしれないが、貢献度としてはある意味でジョッキー以上である場合も少なくないだろう。

 森泰斗騎手の800勝セレモニーが行われるのは、おそらく6月11〜15日の船橋開催だろうが、併せて出川龍一調教師の勇退セレモニーも行われることを強く望む。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング