サンデー系牝馬との相性で意外な成功もあるメイショウサムソン
メイショウサムソンの魅力は、サンデー系牝馬との相性が見込める点にある。
母の父ダンシングブレーヴは1980年代の欧州最強馬だが、マリー病という奇病にかかったため産駒の数は多くない。しかし欧州でコマンダーインイチーフ(英ダービー)、ホワイトマズル(伊ダービー)、日本ではテイエムオーシャン(桜花賞)、キョイエイマーチ(桜花賞)、キングヘイロー(高松宮記念)ら数多くの一流馬を出した。
その遺伝力の確かさは後継種牡馬にも及び、コマンダーインチーフ、ホワイトマズル、キングヘイローらが相次いで成功した。これらに共通するのは、サンデー系との相性の良さであった。ホワイトマズルは社台グループが導入したこともあり、その相性の良さがとくに顕著だった。
対する父のオペラハウスは、欧州の名ステイヤー。その父サドラーズウェルズは歴史的名種牡馬で、日本にもカーネギー(凱旋門賞)ら大物産駒が多数輸入された。だが、本質がスタミナとパワーの血統のため、日本のようなスピード決着の高速馬場には向かず、多くが不振に終わった。
その中で唯一成功を収めたのが、オペラハウスである。やはりスタミナとパワーのタイプだったが、日本の競馬システム、スピードの出る高速馬場にも対応できる柔軟さ、万能性を持っていた。
メイショウサムソン(日本ダービー、皐月賞、天皇賞・春秋)と、テイエムオペラオー(有馬記念、ジャパンC、皐月賞、宝塚記念、天皇賞・秋、天皇賞・春2回)の2頭が、その代表産駒である。
ともに意外に仕上がり早で、それでいて古馬になっても成長し、サンデーのような切れる脚はなかったが、追ってしぶとく伸び、雨の道悪馬場、冬場の荒れて力のいる馬場にもめっぽう強かった。
メイショウサムソンより先に種牡馬入りしたテイエムオペラオーは、期待ほどの成績を残していない。そのせいかメイショウサムソンの人気はいま一つだが、母の父ダンシングブレーヴの遺伝力が期待できる点、サンデー系牝馬との相性が見込める点で、意外な成功もあるように思う。
仕上がりは早いが、じっくり成長を待ったほうがいい。秋以降のデビュー馬に期待したい。