今年の輸入新種牡馬は全体に小粒。取り上げられるのは、先々週紹介したチチカステナンゴと、今週紹介するアルデバランぐらいなものである。
ミスタープロスペクター晩年の傑作というのが、アルデバランの売りだ。偉大な種牡馬はどこまでも偉大で、並みの種牡馬ならとっくに引退か死亡している27歳時の種付けで、このアルデバランを出した。
欧州でデビューしたが、アメリカに転戦してから力をつけ、2003年の5歳時に米GIのサンカルロスH(ダ7ハロン)、メトロポリタンH(ダ8ハロン)、フォアゴーH(ダ7ハロン)を3勝した。この年の米チャンピオンスプリンターに選ばれている。
競走成績を見る限りでは晩成タイプだが、血統的には仕上がり早である。スプリント、マイルが得意の典型的なミスタープロスペクター系と考えていい。
初年度産駒は2007年の2歳戦でデビューしたが、北米の動きは芳しくなかった。一方、日本では外国産馬のダノンゴーゴーが活躍。3歳になってファルコンSを勝ち、NHKマイルCで3着に食い込む健闘を見せた。これを見てアメリカ側は日本に向けて、「買わないか」のオファーを発信。即座にJRAが飛びつき、その秋、獲得交渉がまとまった。
種牡馬は2世代目から変身することがよくある。が、残念ながらアルデバランは該当しない。これまで5世代を出して、仏米のGIII勝ち馬を5頭出した程度で、GII勝ち馬すら出していない。欧州でデビューしたメインシークエンスが、今春、英ダービーで2着に入ったのは朗報だが、売却を後悔させるまでには至っていない。
産駒の仕上がりは早く、2歳戦から楽しめそうだ。ダートも芝もこなすが、それほど距離の融通性はない。マイル前後が主な活躍の舞台となるだろう。芝はいくらか力のいる馬場が合う。道悪も巧いはずだ。
ダノンゴーゴーのイメージが、アルデバランの血統的な特徴とみていい。成長力、クラシックの底力という点では、おのずと限界があるかもしれない。