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奇跡の馬クラグオー

  • 2012年07月13日(金) 18時00分
 クラグオーが7月11日の2歳オープン・バゴ賞を勝った!

 クラグオーは、クラキンコの3つ下の全弟。クラキンコといえば、ご存知の方も多いと思うが、2年前の道営三冠馬であり、父クラキングオー、母クラシャトルとの父母仔による北海優駿制覇に加え、父仔での王冠賞制覇。

 何よりスゴイのは、クラキングオーが残したたった3頭の産駒からこれだけの活躍馬が出ているということ。07年に生まれたクラキンコは、クラキングオーの初年度産駒。同産駒としては09年生まれのクラオージクンもいるが、この馬だけは母が違ってクラダッチューノ。デビューした昨年は2戦して勝てなかったが、3歳になった今シーズンの3戦目に初勝利を挙げると、そこから目下3連勝中と好調だ。そして今年デビューしたのがクラグオー。

 クラキングオーは、2010年にも種付けはしているが産駒は得られず。その後、残念ながら牧場での事故で死んでしまった。それゆえクラグオーが最後の産駒ということになる。

 馬名からもわかるとおり、クラオージクンの母クラダッチューノも含めて、この3頭は父母仔、いずれも倉見牧場で生産されている。そんなわずか3頭の産駒から、これだけの活躍馬が出ているのは、もう奇跡というしかない。

 クラグオーはデビュー2戦目となった6月13日のアタックチャレンジで2着に5馬身差をつけて初勝利。続く6月27日のウィナーズチャレンジは、ノーザンファーム生産/サンデーレーシング所有で断然人気となったジェネラルグラントに、わずか半馬身交わされて2着。ここを勝っていれば、函館2歳Sの優先出走権を得られるところだった。

 しかし、7月11日のバゴ賞を勝ったことで、8月4日に札幌競馬場で行われるクローバー賞(芝1500m)に出走できることはほぼ確実(実際に出走するかどうかわからないが)。クラグオーは、デビュー戦こそ1200m戦で4着に敗れたが、以降の3戦は1700m戦を使われているように、血統的にも距離は中距離以上がいいはず。それならば、1200mの函館2歳Sに挑戦するより、クローバー賞から1800mの札幌2歳S(9月1日)を目指したほうが可能性がありそうだ。

 クラグオーにも、クラキンコと同じかそれ以上の活躍をと望むのは酷だろうが、もしそうなれば、それは本当に奇跡としかいいようがない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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