オルフェーヴルの凱旋門賞挑戦が、スミヨン騎手で正式に決まった。新聞によると池江泰寿調教師は、「苦渋の決断でした。凱旋門賞に勝つためにはどうすべきか、関係者みんなで協議した結果、スミヨン騎手にお願いすることになりました」
と、記者会見で話している。池添騎手は口惜しいだろうが、もしスミヨン騎手で負ければ「馬が弱かった」で人は納得する。だが、池添騎手で負ければそうはいかない。騎手のせいとして、批判の集中砲火を浴びることになりかねない。池添騎手の将来のためにも、これでよかったように思う。
オルフェーヴルの血統構成は凱旋門賞に向いている。ある意味でカビ臭い、今や化石と化したような古いステイヤー血統の凝縮だが、だからこそ欧州の力のいる馬場に向く。
母の父メジロマックイーンにつながる「メジロ天皇賞馬3代の系譜」は、馬名の字面を見るかぎりでは、垢抜けしないコテコテの内国産血統の印象を受ける。
だが、初代メジロアサマの母スヰートは、シンボリ牧場の先代、和田共弘氏がアメリカの歴史的名牝系「ラトロワンヌ系」に目をつけ、苦労して手に入れた牝馬だ。この時代においては最先端をゆく、スタミナとパワーに富むファッショナブルな血統だった。
二代目メジロティターンの母シエリルも、メジロ牧場の先代、北野豊吉氏がフランスのせりで、今の金額なら1億円はしようかという値段で買った名血だ。近親には当時の欧州の名馬、名種牡馬が目白押しだった。
ステイゴールドの母の父ディクタスも、その父系をたどれば英三冠馬のゲインズボローに行き着く。かつて世界的に一世を風靡したステイヤー血脈である。
こうした血統は、今の日本では敬遠されがちだが、欧州の競馬にはむしろ合う。しかも、サンデーがそれらを「今ふう」にアレンジして蘇生させた。オルフェーヴルの血統構成は、決して見劣りするものではない。