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小倉芝1200mの調教傾向から見る北九州記念注目馬

  • 2012年08月14日(火) 18時00分
 今朝14日の栗東は調教が始まる前、午前3時30分ごろから豪雨。開門直前は少し止んでいた雨も、馬場開場から15分もすると再び豪雨となりました。その影響で、逍遥馬道には水たまりができて、それを怖がって、通過するのを拒む馬も出ました。また、轟音の雷鳴に暴れる馬もおり、人はもちろんですが、馬にとっても非常に厳しい調教時間となりました。

Cコースには水たまりが

コースには水たまりが

 雨が降れば、ダートコースがプールのようになるのはもちろんですが、今朝の雨はウッドチップ馬場までもプールにしてしまうくらい。坂路の走路には水たまりはありませんでしたが、Cコースには左回り時の2コーナーすぎ(右回り時では3コーナー手前)に水たまりができていました(画像中央部分)。こんな状態だと、明日の追い切りは非常に時計が掛かる状態になるでしょう。

 そんな中、北九州記念に出走予定の各馬が調整。開門直後はまだ薄暗く、そして雨が降っていた影響もあって、カメラにその走りを収めることはできませんでした。朝の時間帯にかろうじて撮影できたのがエーシンダックマン。これも非常に見づらい画像になっていると思います。

豪雨のなかの調教エーシンダックマン

豪雨のなかの調教エーシンダックマン

 しかし、このエーシンダックマン。アイビスSD2着後、この中間の坂路での動きが抜群。4F時計こそ遅いですが、ラスト2Fが今までにないくらいしっかりしています。特に8日は2F24.3-1F12.1秒でラスト2Fのラップは12.2-12.1秒。終いの2Fがこんなに速い時計をマークしたことは、過去1年振り返ってもないだけに、前走の経験が良い効果を与えているのかも知れません。

 同じく8日の坂路でラスト2F、抜群の動きを見せたのがヘニーハウンド。2F24.3-1F12.2秒とこちらも終いがしっかりした走り。前走鞍馬Sを快勝後、放牧に出されており、ノーザンFしがらきから帰厩したのが8月3日。要するに、帰厩5日目にして、この動きをしたのですから、いかにしがらきでしっかりと乗り込まれていたかということです。この調子だと最終追い切りもきっちりと動いて、ファルコンS以来の重賞制覇も十分に可能です。

 この2頭を「さも」本命のような扱いをしたのは、先週までの小倉芝1200mの調教傾向があります。時計が速いレースが続いていますが、そこで上位に入っている馬には「栗東坂路で終い最速ラップを踏む」という最終追い切りが重要になってきます。

 先週、5日目12Rに行われた小倉芝1200m(500万下)を勝ったのがピサノベッテル。栗東坂路での追い切りラップは16.5-14.5-12.8-12.1秒。終い最速ラップが踏めていますし、ラスト2F時計も速くなっています。

 今週末のNo.1予想では札幌記念を取り上げる予定にしているため、北九州記念のポイントをここで記しておくと「最終追い切りが栗東坂路で2F24.5秒以下」という調教条件を設定して予想を組み立てると思います。

 2011年は該当馬がいなかったのですが、2007年キョウワロアリング(11番人気)、2010年メリッサ(5番人気)と勝ち馬を出している調教条件なのです。これに先週までの小倉芝1200mの傾向である、終い最速ラップというのを組み合わせると、エーシンダックマンが先週の追い切りでその条件をクリアしていたというわけです。

 しかし冒頭にも触れたように、15日の坂路は相当時計の掛かる状態が予測できます。そこで各馬がどういった調教内容を課してくるのか、やっぱり週末までは結論を出すことはできないので、それは馬券総合倶楽部で確認していただければと思います。

◆次走要注意
・8/11 小倉12R メトログリペン(7人/8着)
 No.1予想の◎に推した馬ですが、中京芝1200m時のように、先行集団につけることができなかったことが、今回の最大の敗因でしょう。直線に向いても脚が止まることはなかったので、このクラスなら十分通用する目処はついています。ただ先行力がさほどないため、頭数が少なくなるなど、少し有利な条件は欲しいところです。

[メモ登録用コメント] 最終追い切りが坂路で終い最速ラップを踏めれば馬券圏内

・8/12 新潟7R ダノンアーチストン(1人/1着)
 単勝1.5倍の断然人気に応えての勝利。勝ち時計こそ平凡ですが、道中動く場面があり、直線しっかり伸びる場面があり、と昇級しても通用する内容でした。500万下でも人気する要素があるだけに、馬券的妙味はさほどないかも知れませんが、後々はオープン入りできる素材だと思うので、長い目で覚えておいて欲しい一頭です。

[メモ登録用コメント] 最終追い切りが大久保龍志厩舎の勝負調教なら連戦連勝可能

◆今週末馬券圏内
・8/18 札幌10R 手稲山特別ユールフェスト
 前走のレース内容に関しては当コラムの「次走要注意」に記した通り。あのレースで掲示板を確保したのは、能力の証明の他ありません。この中間は函館Wで調整されており、札幌芝1200mへの適性は十分。あとは最終追い切りも函館Wで行い、併せた相手に馬なりで先着するくらいの素軽さがあれば、まず負けません。

[メモ登録用コメント] 最終追い切りが函館Wで須貝尚介厩舎の勝負調教に該当すれば勝ち負け

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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