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高知がスゴイ

  • 2012年08月24日(金) 18時00分
 地方競馬の交流重賞戦線は、お盆の時期に行われるクラスターC(盛岡)、サマーチャンピオン(佐賀)、ブリーダーズゴールドC(門別)の3戦が終わると一段落。およそ1か月のブランクがあって、オーバルスプリント(浦和)、日本テレビ盃(船橋)あたりかから、いよいよJBCへ向けた戦いがはじまる。

 しかしダート路線はJRA勢の層がますます厚く地方勢は苦戦が続き、今年ここまでに地方馬がダート交流重賞を勝ったのは、TCK女王盃のハルサンサン(船橋)と、関東オークスのアスカリーブル(船橋)の2頭のみ。フリオーソが8歳になってここまで勝ち星がないのは残念だが、それでもさすがに南関東勢はJRA勢を相手にコンスタントな活躍を見せている。

 南関東所属馬以外で、いま確実に馬券圏内の勝負になるのは、笠松のラブミーチャンくらいだろう。先日のサマーチャンピオンでもスーニを振り切っての2着だった。

 そのサマーチャンピオンでもうひとつ印象的だったのは、高知のシーアクロスが4着に入ったこと。高知競馬は地方競馬の中でも賞金レベルでは底辺に位置するが、それだけに他地区に遠征しての活躍は驚異的といっていい。

 今年、ここまで地方競馬で行われた交流重賞で、他地区に遠征して掲示板を確保した地方馬は、ラブミーチャンのほかに4頭。兵庫・オオエライジン(佐賀記念5着)、高知・リワードレブロン(名古屋大賞典5着)、笠松・トウホクビジン(クラスターC5着)、それに先のシーアクロス。この少ない頭数の中に、高知所属馬が2頭いる。

 南関東所属馬もJRAとの交流重賞で2着3着は何頭もいるが、自地区の賞金がそれなりに高いからか遠征自体が少なく、他地区の交流重賞に遠征しての3着以内はない。

 JpnIIIクラスの交流重賞の5着賞金はおおむね100万円前後。対して高知で行われている重賞は、交流重賞の黒船賞を別とすれば、最高賞金の高知県知事賞の1着賞金で135万円。そのほかの重賞の1着賞金は27〜60万円でしかない(いずれも昨年実績)。そうしたところから遠征して、勝つまでには至らないとはいえ、賞金圏内を確保するというのは、たいへんな活躍だといっていい。

 当然高知は馬だけでなく人の活躍もスゴイ。今や地方競馬を代表する騎手となった赤岡修次騎手は、8月22日現在488戦165勝。勝利数では戸崎圭太騎手(大井)に次ぐ2位だが、勝率33.8%はダントツだ。2位の山口勲騎手が30.0%だから、NARグランプリの勝率のタイトルは今年も赤岡騎手が獲る可能性はかなり高い。

 もっとスゴイのは雑賀正光調教師。同日現在、なんと194勝。昨年は265勝で地方競馬の年間勝利数記録を更新したが、このペースでいけば昨年の記録を上回ることは確実で、年間300勝も見えてくるかもしれない。

 さて、サマーチャンピオンで4着に入ったシーアクロスだが、この原稿が公開(8月24日18時)されて2時間ほどののちに行われる地元高知の重賞・建依別賞に出走する。その実績からおそらく人気になるだろう。しかしメンバーを見ると必ずしも断然というわけではなさそう。それどころか意外に苦戦するかもしれない。

 ちなみに高知には今年すでに重賞3勝を挙げているコスモワッチミーという馬がいるが、19日に福山に遠征して金杯を勝ったばかりなので、ここは不在。それでもサマーチャンピオンで4着に入ったシーアクロスが簡単には勝てそうもないメンバーが揃うというのが、今の高知の古馬重賞戦線だ。

 建依別賞の1着賞金は50万円。そうした賞金レベルにもかかわらず、全国区でも通用する馬が次から次へと出てくる高知競馬はやっぱりスゴイ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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