新潟2歳Sで2着に入ったノウレッジは、10番人気の低い評価だった。前走のデビュー勝ちがダートの1200m。いきなりマイルに伸びて、しかも芝に変わったのだから無理もない。今夏は雨が少なく、どこの競馬場もスピード決着が続いている。惨敗してもおかしくないケースだった。
しかし、レコードの速い流れに対応し、優勝馬のザラストロと同タイムで駆けた。内の経済コースを通ったとはいえ、血統的なポテンシャルがなければ、こういう芸当はできない。
父のストリートセンスは、今をときめくストリートクライの初年度産駒だ。
米2歳牡馬チャンピオン決定戦、BCジュヴェナイルを同レース史上最大の10馬身差で圧勝。米三冠第1弾のケンタッキーダービー(ダ10ハロン)も勝利した。BCジュヴェナイルの優勝馬が、ケンタッキーダービーも勝ったのは史上初めてのことである。
米三冠第2弾のプリークネスSは2着に敗れたが、直後にダーレーが種牡馬権利を獲得。その後、“真夏のダービー”トラヴァーズS(ダ10ハロン)も勝利して、翌2008年から種牡馬入りした。
昨夏、初年度産駒がデビュー。現時点では米GIII勝ち馬が2頭のみだが、日本では持込馬のフリートストリートがオープン特別のヒヤシンスS(ダ1600m)を勝っている。
ノウレッジは2年目の産駒になるが、血統的に単なるダート馬、早熟の短距離馬でないことは確かだ。
母系はアメリカの名牝系で、曾祖母のバンカーズレディはレディーズH(ダ10ハロン)など米中距離GIを3勝した。近親には米重賞勝ち馬が目白押しで、日本でもデアリングハート(府中牝馬S2回、桜花賞3着)、ピットファイター(武蔵野S)らが活躍している。
全体にダートの活躍馬が目立つが、芝にも対応が可能な母系ファミリーで、仕上がりの良さと成長力を合わせ持つ。その点は父のストリートセンスも同じ。あともう1戦見なければわからないが、この馬、意外に大物かもしれない。