牝馬のクラシックとなると、偉大な母、さらには偉大な祖母たちが話題になります。血で走るサラブレッドの何たるかを知るには、これが一番ということでしょう。
今年は、アドマイヤグルーヴが何かにつけて取り上げられています。母エアグルーヴの初仔、そして祖母がダイナカール。誰が見たってクラシックの可能性を探りたくなります。ダイナカールと言えば、最優秀2歳と3歳牝馬に輝いた名牝。桜花賞はシャダイソフィアに敗れて3着でしたが、大激戦のオークスを勝っています。2頭の生産者社台ファームではよほど自信があったのでしょう。オークスはダイナカールにまかせ、なんとシャダイソフィアをダービーに出走させていました。
母になったダイナカールは、なかなかいい産駒に恵まれず、その仔エアグルーヴがオークスを勝ったのが母の栄冠から13年目。長い年月がかかりました。
このエアグルーヴは、予定した桜花賞は熱発で回避していたのですが、秋の天皇賞を勝ち、ジャパンCがピルサドスキーの2着と大健闘、年度代表馬の座につきました。伊藤雄二調教師は、牡馬に挑戦するのではなく、強いから出走するのですと言い切っていました。女傑という呼び方は好きではなく、時代を代表する強豪としての扱いをなさっていたのを思い出します。
こうした黄金伝説の中に生きるアドマイヤグルーヴの背負っているものは大きく、母仔3代に渡るクラシック制覇が、桜花賞でなのかオークスでなのか、この春の最大の関心事になっても不思議ではありません。
いずれにせよ、オークスには縁が深い血統で、これが桜花賞でどうかのハードルはあります。パートナーの武豊騎手には、桜花賞最多の5勝目がかかっていて、これまで12回騎乗し、3番人気以内では7戦して4勝2着2回という実績から、人馬共の記録達成は手の届くところにあると言えるのですが。