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ユーザーからのギリギリ質問(3)「なぜ、最後まで追わないのか!?」

  • 2012年09月25日(火) 18時00分
先週に続き、裁決のお話からスタート。この夏、武豊騎手がイギリスで騎乗停止になった件で、どうやら小牧騎手は不満があるそうです。ギリギリ質問トークもいよいよ今回が最終回。小牧騎手が本気で謝罪した、ユーザーからのキツ〜イ質問も!

■この場を借りて…「すみませんでした」!?

──前回に引き続き裁決のお話ですが、8月の末に武豊騎手が、イギリスでの騎乗が原因で騎乗停止になりましたね。

小牧 ああ、そうやったね。鞭を使う回数が多かったっていうことでね。ただね、それを伝えるニュース(※)の書き方がアカン。“不当に”って書かれてたでしょ? “不当に”なんて書かれたら、ファンはどう思うか。あの書かれ方は、豊くんがかわいそうやで。※当時のJRA発表リリースによるニュース

──たしかに、あまり競馬に詳しくない人からすれば、“いったいどんな使い方したんだ!?”ってなりかねませんよね。

小牧 そうそう。ちゃんと“鞭の回数違反”であることを伝えなきゃ。そういうふうに書いてもらいたいよね。あの書き方はちょっとアカンわ。勝負のなかでの話なんやし、わざとじゃないんやから。そういえば、僕も一度だけ鞭を使う回数が多すぎるって注意されたことがあったな。

レースであまり鞭は使わない

レースであまり鞭は使わない

──そうなんですか? 小牧さんはあまり鞭を使わないイメージです。

小牧 そう? よう叩くイメージやと思ってたわ。、まぁ実際は、あんまり叩かんほうやと思うけどね。でも、注意されたときは、確かに叩いてた(笑)。めずらしく連打してたんやね。

──小牧さんの鞭は、一発一発が重そうな印象です。

小牧 ああ、だからかな、鞭がすぐ折れるわ。グリップのところがよう折れんねん。たぶん、相当力が入ってるんやろうね。

──下世話な話ですが、鞭はおいくらくらいするものなんですか?

小牧 え〜とね、1万円近くするよ。

──あんまり折りたくない値段ですね…。

小牧 そうやねん。僕はせこいからね(笑)。いや、せこいっていうか、物を大事にするほうやから、ほんまに極力折れんようにしたいんやけど。

──こだわりのメーカーとかあるんですか?

小牧 メーカーはこだわってないけど、やっぱり、自分の手にしっくりくるものを慎重に選ぶね。僕は既製品の鞭を使ってるんやけど、人によっては、自分仕様の鞭を作ってもらったり。その仕様もいろいろあって、僕は固めの鞭が好きなんですけどね。

──ひと言に鞭といっても、いろいろあるんですね。勉強になりました。では、次の質問です。これはちょっとお聞きしづらい質問なんですが…、「ゴール前で最後まで追わない騎手を時々見かけますが、なにか意図があってのことなのでしょうか?」

小牧 いやいや、癖やねん。僕もときどきやってしまうけど…。もちろん、最後まで追うように心がけてます。最後まで追ってないように見えるときって、そこから追っても追わなくても一緒なんですわ。一緒なんやけど、ダメやね、それじゃあ。早めにお尻を上げて、万が一(着順が)替わったりしたら、それはもう絶対に制裁やからね。

──馬券を買っている側からすると、結果的に着順が替わらなくても、最後まで追ってほしいです。

小牧 ホンマやね。“なんでもう一回、そこで追っとかんねん!”って思うやろうね。すごく気をつけてますし、これからも十分気をつけます。この場を借りて、すみません。きっとこの質問自体、僕のことでしょ(笑)?

──いえいえ、小牧さん個人を指しての質問ではないですよ。

小牧 でも、“すみません”って書いといてください。やってはいけんことやからね。

豊くんは、あたりが柔らかい

豊くんは、あたりが柔らかい

──わかりました。続いては、最近競馬ファンになったという方からの質問です。「小牧騎手は武豊騎手のファンということですが、武豊騎手とは、具体的にどこが優れたジョッキーなのでしょうか?」。

小牧 馬に対する当たりが柔らかいし、なにより馬に乗っている姿がキレイでしょう。初心者の人には、まずそのあたりを見てほしい。それってすごく大事なことやからね。それに、人間性も優れているし、やっぱり華があるよね。といいつつ…、この前、2週続けて豊くんと飲んだんやけど、そのときはふたりして“ただの酔っ払い”やった(笑)。

──おふたりでどんなお話をされているのか、非常に興味深いです。続いて「オリンピックを見ていてふと思ったのですが、競馬の騎手が馬術競技に出ても、うまくいかないものなのでしょうか? 馬術と競馬の騎乗技術は、まったく違うものなのでしょうか?」という質問です。

小牧 まったく違うということはないけど、レースと乗馬は全然違うね。馬術では、馬が脚を細かく動かしたりして、あれ、すごいよね。競馬もそうだけど、まず馬がすごい。ジョッキーのなかでも、乗馬がうまい人はいるよ。四位くんとかね。彼なら馬術の世界でもやっていけるんちゃうかな。

──小牧さんご自身はいかがですか?

小牧 乗馬? うまいよ(笑)。いやいや、そこまで深くは関わってないからね。乗馬は競馬学校で最初に習うんやけど、同期のなかでは1番か2番やったわ。そのときに「俺ってうまいんやな」って初めて知った(笑)。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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