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地方競馬IPATはじまる

  • 2012年10月05日(金) 18時00分
 近代競馬150周年の記念日として、10月2日にスタートする予定だった地方競馬IPATが、台風によるJRA阪神の代替開催の影響で、翌3日にずれこんだ。

 なるほど地方競馬IPATが基本的には月・金曜日に発売されないのは、銀行口座とのやりとりの都合によるものだから、JRAが代替開催となればそうなるのも仕方ない。しかしそれがよりによって、日本の競馬においては歴史的出来事といっていい地方競馬IPAT発売初日にあたってしまうとは、なんとも不運だったとしかいいようがない。

 当日は交流重賞の白山大賞典(金沢)が行われ、グリーンチャンネルの地方競馬中継も2時間の拡大版。金沢最終レースの条件戦まで生中継されたのは、地方競馬IPATでの発売を期待してのこと。その発売がなくなってしまったのだから、いちばんがっかりしたのは金沢競馬の関係者だったかもしれない。

 そして事実上、地方競馬IPATの初日となったのが翌3日で、この日は交流重賞の東京盃(大井)が行われた。勝ったラブミーチャンは見事なレースぶりだったが、地方競馬IPAT的な注目は、もちろんその東京盃の売上げだ。

 東京盃1レースの売上げ467,146,200円は、前年比105.1%で、そのうち地方競馬IPATでの売上げは81,548,500円。占める割合は17.5%。また、東京盃当日の大井競馬1日の売上げは1,300,072,000円で、前年比104.0%。そのうち地方競馬IPATは144,502,100円で、占める割合は11.1%というものだった。

 IPATで売っても4〜5%しか増えないの? というのが、大多数の正直な感想ではなかっただろうか。しかも、それなりにメンバーがそろった交流重賞が行われてである。一方で、全体の売上の中では1割以上を占めたというのは、まあまあ売れたと感じられる数字でもある。

 このコラムでもだいぶ以前に指摘したと思うが、今はJRAのIPATでもネット銀行の利用者がそれなりにいて、それならば地方競馬のネット投票会員にもすぐになれるのだから、そういうファンはすでに地方競馬の馬券も買っているのではないかということ。

 特にJRA非開催日の地方競馬IPATは原則として即PAT会員しか利用できないため、この東京盃当日も、JRA-IPAT会員でありながら、以前から地方競馬の馬券は地方のネット投票で買っていたというファンが多かったのではないか。

 売上げの伸びはわずかだったものの、IPATの占める割合は少ないものではなかったという結果は、つまり地方競馬のネット会員でもあり、JRA-IPATの会員でもあるというファンが、せっかく初日だからIPAT(即PAT)のほうから投票してみた、というパターンが多かったからと想像するのだが、どうだろう。

 だからといって、地方競馬IPATはあまり意味がないということではない。期待されるのは、やはりJRAの開催日だろう。競馬をやるのは毎週の週末だけ、それでも同じ窓口(IPAT)で地方も買えるなら試しに買ってみようというファンは、かなりいると思う。

 地方競馬IPATがはじまって最初のJRA開催日となる今週末には注目だが、特に注目は、盛岡・南部杯が行われる8日(祝・月)だ。JRAは東京・京都の開催で、しかもメインとして京都大賞典が行われる。そうした状況で南部杯の売上げは、どの程度の上積みがあるのだろう。

 南部杯は昨年が震災の影響で東京競馬場での開催だったため、一昨年との比較にはなるが、東京盃の前年比5.1%増、IPATの占める割合17.5%という数字は大きく上回るものと期待したい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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