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意外? 難問? 騎手免許試験「新ルールができていなかったら…」

  • 2012年10月09日(火) 18時00分
9月20日の門別競馬場でのレースを最後に、ジョッキー生活に幕を下ろした愛知の吉田稔騎手。小牧騎手とは2歳違いの同世代で、何度も手綱をまみえた身近な存在でした。今回は、そんな吉田稔騎手との思い出話から、JRAの騎手免許試験へと話題が展開し…。知られざる試験内容が明らかになる!?

■吉田稔はセンスのあるジョッキーやった
──愛知の吉田稔騎手が、9月20日の門別での競馬を最後に引退されましたね。ほぼ同世代でいらっしゃいますが、吉田稔騎手とはどんな思い出がありますか?

小牧 彼は僕のふたつ下で、赤木くんと同期やね。学校でも一緒やったんやけど、当時は全然知らんねん(笑)。彼に限らず、僕は後輩とか気にせんかったからね。でもレースは、イヤというほど一緒に乗りましたわ。

──そうですよね。ジョッキーとしては、どんな印象がありますか?

「吉田騎手との思い出は多いね」

「吉田騎手との思い出は多いね」

小牧 センスがあるジョッキーやったね。でもまぁ、コイツには負けんやろうな、と思って乗ってましたわ(笑)。

──プライベートで飲みに行ったりはされなかったんですか?

小牧 何度か飲みに行ったよ。たしか小倉でも飲んだなぁ。ただ、アイツはあまり飲まないんですわ。お酒が弱いねん。

──そうでしたか。じゃあ、可愛い後輩という感じ?

小牧 いや、可愛くはない(笑)。それこそ、年齢もそんなに変わらんしね。まぁ一緒にJRAに行こうかっていう、そんな存在やった。そういう話を改まってしたことはないけど、当時は同じ方向を見ていたから。ただ、彼は試験に落ちてね…。(JRAに)来たかったやろうなぁ。悔やんでるんちゃうかな。

──吉田稔騎手は、何度も挑戦されましたものね。でも、二次試験で不合格が続いて。ちなみに、二次試験では、どういったことをするんですか?

小牧 二次試験は学科があります。だから僕、試験前1か月はレースに乗らずに、勉強しましたもん。競馬法規を全部覚えなアカンかったからね。当日は、会議室みたいなところで、ひとりで試験をやらされてね。そのあと、体重と身長測定に口頭試験、それから面接でしたわ。

──口頭試験では、どんな質問が出るんですか?

小牧 僕のときは、馬具のこととか、障害を飛ぶときの馬の脚の出し方とか…。そんなの聞かれてもわからへんやん(笑)。だから、口頭試験は、あんまりできんかったなぁ。あとは売り上げの話とかね。で、そのあとに普通の面接ですね。

──今後の目標は? とか、一般的な質問も?

小牧 そうです、そうです。あとは、なんでJRAに入ろうと思ったのかとか、いわゆる志望動機っていうヤツやね。前にズラッと試験官が並んでてね。緊張するわ、ああいうのは。

──わかります、わかります(苦笑)。すべてが終わったときの手応えはいかがでしたか?

小牧 とりあえず、学科だけは全部書けるようにしとかなアカンと思って勉強したので、それは全部書けましたわ。学科で落ちたって言われるのが、一番恥ずかしいやん(笑)? あとは、20勝を2回っていう規定もクリアしていたし、落とす理由がないやろ、くらいの気持ちで。終わったあと、ああ、大丈夫だなと思いましたね。

──もし、一次試験免除という新ルールができていなかったら…。

小牧 絶対に受かってない。僕、難しくなってから、2回くらい受けましたもん。もうね、障害飛越がどうのこうのとか、まぁ難しくて。ただ、ハナから受からんと思ってたから、あんまり勉強してなかったんやけどね。そんなこんなしているうちに、安藤さんのおかげであのルールができてね。普通に受けてたら、絶対に受からんかったわ。

──園田では赤木さん、笠松からは柴山さんやアンミツさんが、一次試験を突破しましたね。

小牧 うん、すごいと思うわ。赤木くんが受かったときは、ホンマにびっくりした。“受かるわけないやん!”って本気で思ってたから(笑)。大したもんやね。

──では、続いてユーザーからの質問に移ります。「走る馬は“背中がいい”と、よくジョッキーの方は言いますが、それは具体的にどういう感触なんでしょうか?」というものです。なかなか説明しづらいとは思いますが…。
 
小牧 そうやねん、正直、乗ってみないとわからんですよ(笑)。言葉ではうまく説明できんねぇ。そうやなぁ、まず落ちる気がしない。座り心地がいいんですわ。

──具体的に…というのは、なかなか難しいですよね。

小牧 ん〜、じゃあ車に例えましょか? クラウンっていう車があるでしょ。クラウンは、多少道が悪くても静かにスーッと走る感じで、ガタガタ揺れませんやん。でも軽トラは、道が悪ければモロに揺れるでしょ? クラウンは、なぜ道が悪くてもガタガタしないかっていうと、クッションが効いてるから。振動がモロにこないし、揺れない。いい背中っていうのは、そんな感じですわ。うん、われながら、いい例えやね(笑)。

【次回の太論は?】
小牧騎手の活動拠点である橋口厩舎にも、続々と期待の2歳馬が入厩し、順調にデビューを迎えています。そんな2歳馬についての手応えや、恒例のユーザーからの質問など、次回も小牧騎手の本音満載の「太論」をお届けします!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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