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JBCの選定馬を見て

  • 2012年10月26日(金) 18時00分
 11月5日に川崎競馬場で行われるJBCの出走予定馬が発表になった。

 JBCクラシックのJRAの選定馬は、ソリタリーキング(牡5)、シビルウォー(牡7)、テスタマッタ(牡6)、トランセンド(牡6)、ワンダーアキュート(牡6)。南部杯を勝って優先出走権があるエスポワールシチーはジャパンCダートに直行のようで、それ以外ではこの路線のほぼベストメンバーが集まったように思える。

 がしかし、補欠馬5頭を見ると、優先順にハタノヴァンクール(牡3)、ピイラニハイウェイ(牡7)、ホッコータルマエ(牡3)、トリップ(牡3)、グレープブランデー(牡4)となっている。

 これを見て気づくのは、比較的高齢の実績馬が選定されて、若い馬はみな補欠になっているということ。このまま回避馬が出なければ、ジャパンダートダービーを勝っているハタノヴァンクールやグレープブランデーが除外されてしまう。

 これはかねてから指摘されている問題で、詳細は文字数の関係で省略するが、JRAの重賞出走馬の選定方法では、グレードタイトルがあっても若い3歳馬や4歳馬は選定順位が低くなってしまう。フルゲートが16〜18頭のJRAの重賞ではその問題が気になることはあまりないが、出走枠が限られる地方のダートグレードではそれが顕著になる。

 ちょっと以前の話になるが、先ごろ引退したスマートファルコンは、3歳時のJBCで、クラシックにエントリーしたのでは除外確実なため、スプリントのほうに出走(2着)したという経緯があった。

 一方、地方の選定馬を見ると、ダートグレード実績があるのは、3歳時にジャパンダートダービーを勝ったマグニフィカが、前走日本テレビ盃でソリタリーキングの3着と好走もあり、これが筆頭格。あとは、3年前にエルムSを勝ったマチカネニホンバレが川崎への転厩初戦となる。それ以外は、ダートグレード入着級か、地方重賞で勝ち負けというメンバー。この路線の地方馬は、フリオーソがいるかいないかでだいぶ印象が違う。

 9月21日付けのこのコラムでも指摘したが、地元南関東の有力馬は日本テレビ盃からJBCへという路線は避け、9月19日の東京記念や10月24日のマイルグランプリにまわった馬が多く、地方重賞のほうがメンバーが充実するという、皮肉ともいえる状況になっている。

 JBCスプリントでは、前哨戦の東京盃を快勝したラブミーチャンを筆頭に、JpnII勝ちに加え一昨年のJBCスプリント2着のナイキマドリード、東京盃で厳しいペースを経験したオオエライジンなどがいて、地方勢も充実。

 JBCレディスクラシックは、連覇を目指すミラクルレジェンドが断然だが、桜花賞3着のアイムユアーズ、阪神牝馬S勝ちのあるクィーンズバーンなど芝路線から有力馬の参戦があって興味深い。地方勢はもちろんクラーベセクレタが筆頭だ。

 今年のJBCは、スプリントとレディスクラシックこそ中央VS地方という対決の図式が成り立って興味深い対戦となりそうだが、一方でクラシックの出走馬の偏りを見ると、交流重賞が盛んになって15年以上が経過してもほとんど見直されることのない出走馬の選定方法は、そろそろ大幅な改善を考えてはどうだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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