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秋華賞「チェリーメドゥーサ最後方からのマクリ」衝撃の真相

  • 2012年10月30日(火) 18時00分
10月14日に行われた秋華賞では、最後方からの驚異のマクリで場内を沸かせ、15番人気チェリーメドゥーサを掲示板に導いた小牧騎手。この思い切った騎乗にいたった、小牧騎手の心境とは!? 秋華賞の舞台裏に迫ります。

■2コーナーを回ったところで“さあ、行け!”
──今月の話題は、なんといっても秋華賞です。「レース中の小牧さんの心境が聞きたい!」と、ユーザーからたくさんのリクエストがありました。まず、あの競馬は、作戦だったのですか?

小牧 作戦というより、「残り1000mからは、自分のペースで動いて行ってくれ」っていう指示があったんです。そこまでは出たなりで、まぁできれば前のほうに行ってほしいと。前走が、早めに動いて押し切る競馬やったからね。そうはいっても、GIのあのメンバーでそういう競馬は難しいやろうなぁとは思ってたんやけど。

──実際は、少し出遅れて、最初のコーナーでは最後方でした。“よし、行くぞ!”と腹を決めたのは、どのタイミングだったのですか?

2コーナーで覚悟を決めた

2コーナーで覚悟を決めた

小牧 2コーナーを回ったところやね。あまりにもペースが落ちたから、“さあ、行け!”と思って。

──チェリーメドゥーサがあれだけ引っ張っても、前半1000m通過は62秒2でしたものね。まさに、超のつくスローで。

小牧 うん、遅かった。すんごく遅かった。あのペースだったし、僕以外、誰も動かなかったから、結果的にあれだけ離れたんだと思うんやけどね。それに、馬の状態も良かった。すごい脚やった。アッという間に引き離して。

──テン乗りでしたが、チェリーメドゥーサにはどんなイメージを持っていましたか? 関東馬ですし、これまでレースで一緒になったこともないですよね?

小牧 そう。だから、前のレースで乗ってた松岡くんに聞いたりしてね。デビュー戦からずっと乗ってた田辺くんも、いろいろ教えてくれたわ。ふたりとも“うるさいですよ。大変ですよ、小牧さん”って(笑)。だから、“そうかぁ…気をつけなアカンなぁ”と思いながらね。ゲートもまぁうるさかったけど、思ったほどでもなかったわ。

──レースに戻りますが、直線に入ってからも、後ろはだいぶ離れていましたし、残り50mあたりまでは先頭でしたね。そのときの心境は?

直線では一瞬勝ったかと…

直線では一瞬勝ったかと…

小牧 直線に入ってオーロラビジョンを見たとき、かなり後ろが離れていたから、『これは勝ったわ!』と思って。でも、そう思うのがちょっと早かったわ(笑)。思った瞬間、急に馬の脚色が悪くなった(苦笑)。でも、とにかく必死でした。

──1000万を勝ったばかりの馬で、人気も15番目。後ろでジッと脚をタメていても、5着はなかったでしょうね。

小牧 僕もそう思うよ。行ったから5着に残れたんだと思う。今回は、たまたまああいう競馬になったけど、能力的にちょっと厳しいかな…っていう馬でも、ペース次第で勝ち負けできる可能性はあるんやなって、改めて思いましたわ。乗り方ひとつなんやなって。

──レース後、小西先生とはどんなお話を?

小牧 話らしい話はしてませんけど、とにかくニコニコしてはりましたわ。僕と同じく、一瞬、勝ったと思ったんでしょうね。満足していただけたと思いますよ。

──いくら人気がないとはいえ、あれだけ極端にレースを動かすのは勇気がいるのではないですか?

小牧 そうかなぁ? 僕は自分の閃きで動いてるだけやから。

──では、“残り1000mから動いて行ってくれ”という指示がなかったとしても…?

小牧 同じように行ってますね、僕は。僕自身、このメンバーじゃ正直しんどいし、みんなの邪魔をせんようにジックリ行くかな…くらいの気楽な気持ちで乗ってたんでね。あれだけペースが落ちれば、迷わなかったと思いますよ。

──GIという大舞台での思い切った騎乗、本当にお見事でした。でも、ほかのジョッキーは、スローだとわかっても動きませんでしたね。

小牧 秋華賞でいえば、強い2頭が前(ヴィルシーナ)と中団よりちょっと後ろ(ジェンティルドンナ)でジッとしてたからね。大事に乗ろうと思ったら、脚を使いたくないだろうし。

──そんななか、小牧さんは閃きで攻めた、ということですね?

小牧 うんまぁ、秋華賞でいえば、本当にペースが遅かったからねぇ。僕だって、人気があったらああいう競馬はできないよ。それは無茶やで(笑)。

【次回の太論は?】
4回京都開催が始まって以降、3週続けて未勝利に終わった小牧騎手。その間には、人気の2歳馬での惜敗や、ローゼンケーニッヒのままならない競馬などもありました。今後への期待も込めて、同馬たちとの戦いを振り返ります。
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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