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変わりゆく2歳戦

  • 2012年11月02日(金) 18時00分
 地方競馬では全国の2歳重賞(特別)をシリーズ化した『未来優駿』が行われているが、今年は競馬場によって2歳戦がかなり様変わりしている。

 その要因のひとつとしてまず挙げられるのが、今年からJRA認定競走のしくみが変わったこと。昨年までは、どの競馬場でもおもに新馬戦など経験の浅い馬たちのレースがJRA認定競走として行われてきたが、今年からホッカイドウ競馬を除き、2歳戦でも上級クラスのレースがJRA認定競走に充てられるようになった。素質の高い馬にJRA認定馬の資格を与えるというのは、むしろ当然のことといえる。

 これにともなう措置として、たとえば岩手では、昨年まで特別戦として行われてきたいくつかのレースをJRA認定競走として重賞に格上げしたため、2歳馬の重賞が増えることになった。

 兵庫ではJRA認定競走の賞金を一定額にしたためなのだろう。特別のアッパートライ競走と、重賞の兵庫若駒賞の賞金が同額になり、結果として兵庫若駒賞(10月24日)の出走馬の層が薄くなってしまった。出走9頭中4頭が未勝利馬(枠順確定後に取消した馬も含む)で、1勝馬も4頭、そして唯一3勝を挙げているエーシンクリアーが単勝元返しの断然人となって勝った。

 佐賀の九州ジュニアチャンピオン(10月26日)は、昨年までは他地区からの転入馬も出走していたのが、今年からは地元デビュー馬のみのレースになったようで、やはり例年に比べて層が薄い印象は否めない。

 福山2歳優駿(10月29日)にいたっては出走10頭中5頭が未勝利で、しかもほとんど勝負付けが済んだ相手同士の対戦。ここまで無敗のカイロスがデビューから7連勝となった。当然馬券的にはまったく妙味がなく、3連単で250円という低配当だった。

 この時期の2歳重賞の層が薄くなっているのは、生産頭数の減少も要因のひとつと考えられる。

 まだ最終的な数字は出ていないものの、昨年産まれたサラブレッドは6,800頭余りで、7,000頭を割ったのは1968年以来のこと。今年も種付頭数からの推測では7,000頭を割るのは確実のようだ。ピークの1992年の生産頭数が12,874頭だったから、その半数ほどにまで減ってしまっている。

 生産頭数のこの減少を見ると、残念だったとはいえ荒尾競馬の廃止は避けられなかったのかもしれない。

 このままではホッカイドウ競馬以外の地方競馬の2歳馬の層は薄くなる一方。中央競馬も含め、全国的に連携して、2歳戦のあり方やしくみを考え直す必要があるのではないだろうか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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