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天皇賞・春

  • 2003年05月03日(土) 10時33分
 最近は長距離戦は少なくなり、かつてとは逆にステイヤーの評価が低くなりつつあったりする。しかし、長距離戦の価値は、ステイヤー型が少なくなると同時に、かえって重要になりつつある。というのは、距離延長に耐える総合能力があってこそ、マイル戦前後のレベルも高くなることは当然で、スタミナのある馬と、スピードに優れる馬の配合が強さのレベルを引き上げる。マイラーやスプリンター同士の配合は、ステイヤーとステイヤーの配合が意味をなさないのと同様に、やっぱり意味を持たず、ただレベルの低下を招くだけだからだ。生産の歴史がそれを教えている。

 短距離戦にスピード負けがあれば、長距離戦にはスタミナ負けがある。3200mの天皇賞にはいつものマイル戦や、中距離戦以上に価値ある中身を期待したい。つまり、超スローで距離が保ってもなんにも意味がなく、バテる馬がいてもそれこそ当然のこと。とくに先行する馬の使命は大切で、ペースメーカーを出走させるのをよしとしない日本の長距離戦では、逃げ=先行グループは、しかるべきレベルのペースを作らないといけない。もしスタミナ能力に勝るなら、それで好走できることは何十年、何百年の歴史が教えている。

 小林淳一騎手の3番イングランディーレに期待する。これがベテラン騎手で、G1に慣れすぎ、できるだけペースを落とそうとする人馬なら注目に値しないが、たまたま小林淳=イングランディーレはG1級の経験が少ない。必要以上にペースを落としたりせず先導してくれる可能性がある。小林淳はホットシークレットの3200mで逃げ、価値あるレースを作ったことがある。今回も強気の挑戦者。自分のペースで行って、それでバテたり捕まるならそれは仕方がない。長距離のG1は力を出し切ることが最初のテーマで、たとえば後方で脚を余すなど最低。レース全体のレベルを上げ、現在の芝なら最少限、3分16秒ぐらいで走るのを目安にしてほしいものだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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