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年度代表馬は?

  • 2012年11月23日(金) 18時00分
 今年も残り1か月ちょっと。浦和記念のときにちょっと話題になったのが、今年のNARグランプリ・年度代表馬はどの馬になるだろう、ということだった。今年はここまで地方馬でGI・JpnIを勝った馬がいないため、GII・JpnIIのタイトルが大きなポイントとなる。もしトーセンアレスが浦和記念を勝てば有力な候補の1頭になるとも話していたのだが、結果はご存知のとおり、残念ながら4着に負けてしまった。

 今年、ここまでに交流重賞を勝っている地方馬は、以下の通り。

・ハルサンサン:TCK女王盃JpnIII
・アスカリーブル:関東オークスJpnII
・ラブミーチャン:東京盃JpnII
・ハニーパイ:エーデルワイス賞JpnIII

 すべて牝馬だ。ラブミーチャンは、東京盃のほかに、JpnIIIのサマーチャンピオンでの2着、かきつばた記念での3着もあり、スーパースプリントシリーズでの優勝もあるから、そうしたことも評価の対象となるだろう。アスカリーブルは南関東牝馬二冠のほかに牡馬との重賞も勝っていて、あとは12月の船橋・クイーン賞JpnIIIに出てくるのかどうか。

 こうしてみると、あらためてフリオーソの偉大さがよくわかる。東京大賞典に間に合うのかどうかが気になるところだが、それでもJpnIのかしわ記念2着、川崎記念3着の成績があるから、4歳以上最優秀牡馬の候補にはなるだろう。

 そして「人」のほうは記録が年々すごいことになっている。

 昨年265勝を挙げ、地方競馬における調教師の最多勝記録を更新した高知の雑賀正光調教師は、NARグランプリの表彰式で今年の目標は? と問われ「266勝」と答えていたが、今年ここまでに257勝。高知の開催日だけでもあと9日残っているので、目標達成、つまり記録更新の可能性はかなり高い。

 勝率では、09年にもこのタイトルを獲得した名古屋の川西毅調教師が目下のところ36.1%でぶっちぎり。10年に最高勝率をマークした船橋・出川克己調教師の36.1%が、この部門表彰ができてからの記録で、その数字にぴったり並んでいる。記録更新なるかどうか。それにしても川西調教師は勝利数でも5位にランクされる122勝でのこの勝率はすごい。連対率61.5%というのも驚異的だ。

 賞金では、川島正行調教師、戸崎圭太騎手が、ともに2位にほぼダブルスコアをつけて今年も安泰。戸崎騎手は勝利数でも330勝(地方のみ)で、2位の高知・赤岡修次騎手に100勝以上の差をつけているため、ダブル受賞も確実だ。

 騎手の勝率では、この部門表彰ができてから昨年まで3年連続で赤岡騎手が受賞。今年も31.8%で目下のところトップだが、佐賀の山口勲騎手が30.4%で肉薄している。このタイトル争いは最後までもつれそうだ。

 NARグランプリの表彰とは関係ないが(特別賞の候補になる可能性はある)、特筆すべきは、浦和・小久保智調教師の110勝だ。南関東所属調教師の年間最多勝は、記録が残されている限りでは、09年に川島正行調教師がマークした112勝だが、それを超えるのは確実で、どこまでその数字を延ばすか。それにしても開催日数が南関東の中でも特に少なく、調教施設も恵まれているとはいえない浦和の調教師がリーディングのトップに立ち、しかも記録更新となるのはすごい。

※今年の記録は、いずれも11月22日現在のものです。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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