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ジャパンCダートは鉄板の調教タイプを重視

  • 2012年11月27日(火) 18時00分
 先週のジャパンC。私は中山競馬場でREXS講師の仕事があったため、実際のパドックを見ることはできなかったのですが、事前に発表された馬体重に驚きました。ジェンティルドンナの「-14」です。460キロという体重を見れば、オークス1着時と同じですから、驚くような数字ではないんですが、大幅に減っている数字を目にした時は、さすがに眉間にしわを寄せていました。

 こんな時でも実際に馬を見ることができていれば、良くも悪くも納得できるんですが、そうもいかず、あとはレース結果を見守るだけ。ゴール前は審議になってしまいましたが、あれだけの走りができたということは馬体重は「減った」のではなく「絞った」のでしょう。それは陣営が意識的にしたものでなかったとしたら、ジェンティルドンナ自身がアスリートとして体を造ったとしか思えません。ほんと大した牝馬、いや女王。いろいろありましたが、連勝は止まっていないわけですし、もっともっと強くなってほしいですね。

 さて今週はジャパンCダート。阪神ダート1800mで行われるようになってから、5年目に突入しますが、4年間継続しているのが「併用系統」の調教タイプ。おむすび型の3、4コーナーから早目の仕掛けになるこのレースは、トラックと坂路を併用していることが非常に重要なポイントになっています。

 実は阪神ダート1800mではジャパンCダート以外に重賞競走は行われていませんでしたが、今年からアンタレスSが阪神ダート1800mになっています。その勝ち馬ゴルトブリッツは標準多め坂路主体。つまり併用系統だったわけです。下級条件であれば、さほど併用は重要ではないコースですが、ダートの一線級が集まると、併用調教の適性が最重要になるということでしょう。

 実は今年の出走メンバーで、併用調教にしっかりと該当する馬というのはさほど多くありません。それも本数が多いということになれば、かなり限られてきます。何を重視して、最終的な判断を下すかは、やはり最終追い切りを見てからということになりそうですが、今朝27日の坂路での動きを含めた、いつものレポートにいきましょう。

ローマンレジェンド、動き良好

ローマンレジェンド、動き良好

勢いに乗るワンダーアキュート

勢いに乗るワンダーアキュート

 まずはローマンレジェンド。6連勝の勢いは成績だけではなく、馬を見ていても感じるものがあります。登坂前から迫力があって、キャンターで駆け上がってくる姿も非常に勇ましいものがあります。1週前追い切りのCWでも抜群の動きを見せており、前走の疲れなど一切感じません。中間には坂路調教があるので、調教適性も文句ありません。

 最終追い切りはCWになるでしょうが、見てみたいのはミルコ・デムーロ騎手との初コンタクト。陣営に取材していないので、最終追い切りの騎乗者が誰になるか分かりませんが、天皇賞・秋前の最終追い切りでミルコが騎乗したエイシンフラッシュに置き去りにされたローマンレジェンドに、今後はミルコが跨るということになれば、なんだかそれだけでわくわくしてしまいます。

 ワンダーアキュートは昨年の2着馬。そして今年はJBCクラシックを制して、勢いよく出走してくるわけですから、当然人気上位だと思います。個人的には1900m以上で本当の強さが発揮されるようなタイプだと感じていますが、調教内容には何の問題もなく、この中間は坂路で仕上げられているだけに、最終追い切りはトラックなら併用ということになります。

 今朝も和田竜二騎手が跨っての坂路キャンターでしたが、順調そのもの。今年は毎レース二桁の馬体重増減を繰り返しているだけに、その反動が出なければ、しっかり結果を出してくれると思いますが、当日の馬体重が500キロを切るようなことがあれば、逆にかなり不安な状況になるはずです。

トゥザグローリー、調教十分

トゥザグローリー、調教十分

 調教適性では文句なしに本命候補になるトゥザグローリー。天皇賞・秋から中4週というローテーションですが、その間に積んだ調教本数は山のよう。それも坂路とCWを併用していますから、これで最終追い切りを一杯に追われて併せ先着という池江泰寿厩舎の勝負調教にでも該当すれば、逆らいようがなくなってしまいます。

 ただこのレースが初ダートという馬はこれまで散々な結果に終わっていることくらい、私だって知っています。正直、今年の予想はこの馬のさばき次第で的中か不的中かが決まるような気がしています。あとは最終追い切りをしっかりと見守って、最終的な結論を出したいと思います。

◆次走要注意
・11/25 京都5R 2歳新馬【サンライズシルバー】(3人/2着)
 直線は手応えよく併せ馬になったものの、内にもたれるような仕草を見せて、結果的には3着馬にも差を詰められる始末。それでも走りのセンスとスピードは目立っており、左回りなら楽勝できそうな印象を受けました。

[メモ登録用コメント] 中京芝中距離に出走なら勝ち負け

・11/25 東京11R ジャパンC【ビートブラック】(8人/7着)
 3コーナーから後続を引き離す逃げを見せましたが、番手がついてきたこともあって直線は馬群に飲まれる形となりました。それでも着差は0.9秒。大負けしなかったあたり、やっぱり逃げて持ち味が出る馬、コーナーを6度回る有馬記念なら、絶妙な逃げが打てないかと期待しています。

[メモ登録用コメント] 有馬記念の最終追い切りで舌を越さなければ馬券圏内

◆今週末馬券圏内
・12/2 中京10R 浜名湖特別【サニーヘイロー
 中京芝短距離は最終追い切りを美浦坂路で行った馬に適性の高い条件。サニーヘイローは美浦坂路調教馬で、1200mも1600mも好走できるタイプ。今回の芝1400mにはもってこいのタイプだけに、最終追い切りを美浦坂路で終い最速ラップなら、昇級でも勝ち負け。

[メモ登録用コメント] 最終追い切り美浦坂路で終い最速ラップなら勝ち負け

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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