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目指すは早期復帰、まずは早く動きたい!

  • 2012年11月27日(火) 18時00分
12月1日からの復帰が予定されていた小牧騎手ですが、先ごろ復帰の時期を延期することが発表されました。その少し前に収録した今回の太論。そこには、復帰時期について「どうしようかなぁ」と逡巡しつつも、自身のジョッキー人生を長いスパンで前向きにとらえている小牧騎手の姿がありました。今回は、落馬の瞬間から、ケガの状況、そして復帰に向けての率直な思いを語ってくれました。

■50歳から55歳に目標を延長しますわ
──今日は休養中に本当にすみません。でも、思ったよりお元気そうで、安心しました。

小牧 大丈夫やで。見ての通り、元気やねん。もう松葉杖も使ってないし。

──まずは、落馬したときの状況を教えていただけますか?

小牧 外ラチ沿いを真っ直ぐに行ってたんやけど、「あれ? なんか口が利かんなぁ」と思ってね。そのうち、馬が出口かなにかと間違えたのか、ラチに突っ込んでしまって。僕はいつもみたいに前にゴロンと落ちたから、大丈夫やろと思ってたんやけど、なんかね、足が痛かったんですわ。少しの間、ジッとしていたら痛みが治まったので、僕もゲート裏に行って。そのときも小走りで行ったんだよ(笑)。だから、まさか折れているとはね。

思わぬ怪我に自信も驚きが

思わぬ怪我に自信も驚きが

──ゲート裏で屈伸運動をしたら、思った以上に痛みがあったそうですね。

小牧 そうそう。でも、その時点でも骨折しているとは思わなかった。念のため、このレースは乗るのは止めて、あとのレースに集中しようかなって思ったくらいで。医務室でも「折れてることはないやろ。でも、とりあえずレントゲンだけ撮ってみようか」っていう感じでね。で、いざレントゲンを撮ったら、「キレイに折れてるで!」っていう話になって。うそやん!って(笑)

──左腓骨骨折とのことですが、具体的にどこの骨ですか?

小牧 弁慶の泣き所ってあるでしょ? その部分は太い骨やけど、その隣にある細い骨が腓骨。どうやら簡単に折れるらしくて、ほかのジョッキーもけっこう折ってんねんて。肩甲骨にヒビが入ったことはあるんやけど、手足の骨折は初めてですわ。

──肩甲骨のヒビも園田時代ですものね。

小牧 そうそう。そのときは無理して乗ってたんやけど、やっぱりすごく痛くて我慢ができなかった。だから、それ以来、骨をやったときは無理せんでおこうって決めてたんですわ。

──ケガから2週間以上経ちましたが、経過はいかがですか?

小牧 昨日、休んでから初めてレントゲンを撮ったんやけど、骨がちょっとズレてましたわ(笑)。

──えっ!? 小牧さん、笑いごとでは…。

小牧 いやいや、お医者さんが言うには順調に回復しているらしいから大丈夫。「経過は良好です」って言われたからね。あんまり使わん骨らしいから、あとはきちんとくっつくのを待つだけや。とはいえ、どう見てもズレてたけどね(笑)。

──もう小牧さんは…(苦笑)。さすがにご自宅で安静にされているんですよね?

小牧 家で安静にしていたのは、最初の4日くらいやったわ。なんせ痛くないから、我慢ができなくなって、5日目には嫁さんに「温泉に連れて行ってくれ!」ってお願いしました(笑)。骨折してから3日くらいは温めないほうがいいらしいんやけど、それ以降は逆に、温めたほうがいいんやって。

──小牧さんは普段から行動派ですからね。ジッとしているのは、さぞかしお辛いだろうなとは思っていました。

とにかく早く動けるように

とにかく早く動けるように

小牧 なんかね、気持ちの面で慌てるというか、とにかく早く動きたくて。1週間を過ぎたころには、もうプールで歩いてたわ。復帰したときに、それまでと変わらず動けるようにしとかんとと思ってね。今日から自転車も漕いでんねんやけど、体重を内側にかけるぶんには痛くないんですわ。だから、馬に乗ってもたぶん痛くないと思う。ただ、普通に歩くとまだ痛みがあるから、馬から下りるときとか痛いかもしれんね。とりあえず、今週の日曜日(25日)から調教に出ようと思ってね。橋口先生にもさっき「日曜日から乗せていただけませんか?」って電話しました。

──そうでしたか。でも、多少でも歩いて痛みがあるうちは、あまり無理をされないほうが…。

小牧 うん、そう思ってる。日曜日に少しでも違和感があったら、無理して復帰はしない。中途半端な状態では乗りたくないからね。予定では、1日からレースに乗るつもりやけど、我慢はせんとこうと思ってる。僕を待っていてくれる人たちは、以前と変わらない僕の姿を見たいやろうし、万全だったらもっと追えたのに…とか思ったりしたら、なにより自分自身に腹が立つしね。いずれにしても、日曜日に決断しますわ。

──それを聞いて安心しました。ずっと楽しみにされていたジャパンCダートもありますし、無理をしてでも復帰されるんじゃないかとちょっと心配していました。

小牧 気持ちの面では、そりゃあ乗りたいよ。だけど、痛いのを我慢してまで乗りたくない。昔はよく、痛くても我慢して乗ってたけど、僕はもうそんな無理がきく年じゃないからね。50歳まで乗るのが目標って言ってきたけど、今回休んでいる間に、メンテナンス次第では55歳まで乗れるんちゃうかと思い始めて、目標を5年延長しようかと思ってんねん。だからこそね、今は無理はせんとこうと思ってます。

【次回の太論は!?】
JRAに移籍して8年、初めての長期休養を余儀なくされている小牧騎手ですが、元来、家でジッとしていられない生粋の行動派。はたして現在は、どんな日々を送っているのでしょうか。休養中の過ごし方について、たっぷりとお聞きします!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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