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新設重賞ラッシュ

  • 2012年12月07日(金) 18時00分
 来年1〜3月の地方競馬IPATの発売日程が発表された。まず目を惹いたのが、2013年の地方競馬IPAT発売初日となる1月3日は、川崎、水沢、名古屋、園田、福山、佐賀と、6場の馬券が発売されること。

 10月にスタートした地方競馬IPATは、1日最大6場(JRA開催日は3場まで)の馬券に投票できる仕組みになっているが、6場フル発売となるのは、この1月3日が初めて。JRA-IPATの投票画面に地方の6競馬場が表示される画面は、記念としてぜひ見てみたい。5日のJRA東西・金杯を心待ちにしている中央競馬のファンに対しても、「IPATなら3日から地方競馬で馬券が買えますよ」と、大々的にアピールすべきだろう。

 地方競馬IPATがはじまってからの地方競馬では、IPATで馬券の売上げを伸ばすべく、いくつかの変化が見られる。

 まずひとつは、岩手、福山、高知などが土曜日に重賞を行うようになったこと。これまで週末を中心に開催されている地方競馬では、重賞は日曜日開催がほとんどだった。ところが地方競馬IPATで馬券を発売するには、いずれかの地方競馬で「基幹競走」が必要となり、そのために土曜日に重賞が組まれるようになった。

 ちなみにこの「基幹競走」とは、JRA開催日は地方競馬で行われるすべての重賞が対象となり、JRA非開催日はダートグレードまたは1着賞金1000万円以上の重賞が対象となる。地方競馬IPATは、この基幹競走に該当するレースが行われる日に発売され、同日に開催が行われている競馬場は、この基幹競走にぶら下がる形での発売となっている。

 もうひとつの変化としては、この「基幹競走」となるべく、重賞の格上げや新設が増えたことが挙げられる。

 たとえば岩手では、昨年までは特別競走だった2歳戦のいくつかを、JRA認定競走として重賞に格上げした。

 そして1月以降の全国の重賞一覧を見て、ちょっとびっくりしたのが、佐賀でいくつもの重賞が新設されていることだった。1〜3月だけでも、その数は7。既存の重賞も合わせると、この3か月で行われる重賞は12(JRAとの調整の都合で未発表となっている、たんぽぽ賞も含む)。平均すると、佐賀ではほぼ毎週のように重賞が行われることになる。

 これほど一気に重賞が増えてしまうと、これまで歴史を重ねてきた重賞体系が崩れてしまうのではないかということが懸念される。これに対して佐賀では、ダートグレードを除く既存の重賞をS1、新設の重賞をS2というように、ローカルの格付けを行なうことで区別していくようだ。

 地方競馬IPATへの対応は、まだどこも手探り状態。新年度となる4月以降、佐賀のように重賞体系や日程を大幅に変更する競馬場が出てくるものと想像される。当然それは全国の地方競馬が連携して行われるべきで、以前から叫ばれていた地方競馬全体を通じての開催日程の調整や、重賞体系の整備などは、地方競馬IPATをきっかけに進んでいくことになるかもしれない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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