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若手騎手の檜舞台

  • 2012年12月14日(金) 18時00分
 1月21日に高知競馬場で行われる全日本新人王争覇戦の出場予定騎手が発表された。

山頭 信義(船橋)
山崎 良(大井)
田中 涼(川崎)
丸山 真一(愛知)
杉浦 健太(兵庫)
田野 豊三(兵庫)
村松 翔太(佐賀)
山下 裕貴(佐賀)
嶋田 純次(JRA美浦)
杉原 誠人(JRA美浦)

 競馬が盛り上がっていた90年代、地方競馬では4月と10月の年に2度、それぞれ十数名ほどの新人騎手がデビューしていた。それゆえ当時、“新人王”出場はかなり狭き門だった。ところが最近では騎手志望者がかなり減っているようで、デビューするのは1年間で10名に満たないことがほとんど(ばんえいは除く)。“新人王”の出場資格は、地方騎手は以前ではデビューから2年以内(JRAは3年以内)だったものが、現在では地方も中央もデビュー3年以内となっている。近年では出場騎手を選ぶのに苦労がうかがえるような、ちょっと寂しい状況ではある。

 それでも今年の出場騎手を見ると、かなりの成績を残している騎手も目立つ。

 佐賀の山下裕貴騎手は、昨年34勝だったのが、デビュー3年目の今年はここまで63勝と躍進。佐賀のリーディングでも5位に入っている。

 愛知の丸山真一騎手は、デビューした昨年が23勝で、今年は50勝。40名近くが在籍する東海地区(笠松、愛知)のリーディングで18位、愛知のみでは10位につけている。

 大井の山崎良騎手は、2年目の今年25勝。激戦区の南関東では若いうちは騎乗馬を確保することだけでも難しく、このうち24勝は高知での期間限定騎乗で挙げたもの。

 近年、“新人王”の舞台となっている高知からはデビューする騎手が少なく、2年連続で地元からの出場騎手がいない。それでも山崎騎手のように、高知での期間限定騎乗で成績を残したことが認められ、選ばれるケースもめずらしくなくなった。“新人王”出場騎手のほとんどが高知競馬場での騎乗は初めてというなか、高知での期間限定騎乗を経験している騎手にとっては、コース経験というアドバンテージがある。また、応援してくれる関係者やファンが多いということも精神的にはプラスとなるだろう。

 デビューする騎手の数が減っているとはいえ、地方競馬にも高い素質を感じさせる騎手はいる。

 近年の“新人王”上位入賞騎手の中でも、09年に優勝した黒澤愛斗騎手(北海道)は今年重賞初制覇を果たし、北海道がシーズンオフの現在は名古屋で期間限定騎乗中。通算100勝まであと3勝と迫っている。10年に2位の澤田龍哉騎手(船橋)は、今年南関東で37勝を挙げ、存在感を増している。

 また、今年デビューした騎手の中でも、北海道の阿部龍騎手はすでに52勝を挙げ、日本プロスポーツ大賞の新人賞にも選出された。兵庫の鴨宮祥行騎手は22勝を挙げて早くも減量が取れている。この2人は、おそらく来年度の新人王争覇戦で注目を集めることになるだろう。

 今回(1月21日)の全日本新人王争覇戦は、月曜開催のため残念ながらIPATでの発売はないが、日本の競馬の未来を担っていくことになるであろうジョッキーたちの争いに、ぜひ注目いただきたい。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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