2012年の中央競馬は、「ディープインパクト、キングカメハメハのリーディングサイヤー争い」と、この2頭の刺客となったステイゴールドの活躍」に集約される。
キングカメハメハはサンデー系の牙城を突き崩し、前年まで2年連続のリーディングサイヤーに輝いた意地がある。最後の最後までディープインパクトに食らいついた。それを下支えしたのがダート路線の活躍である。
前年までは芝のイメージが強かったが、血統構成そのものは欧州色が強く、パワーに富んでいる。産駒が冬季、雨季の荒れて力のいる芝や、道悪に強いことがそれを証明していた。
その資質を2012年はダート路線でいかんなく発揮。タイセイレジェンド、ハタノヴァンクールを双璧に計6頭がダートで初重賞勝ちを飾った。前年まではゴールデンチケットのみ。それがたったの1年で7頭に増やした。このダート路線の開拓が最後までディープインパクトに独走を許さなかった要因である。
もう1頭、ディープインパクトを牡馬クラシックで苦しめたのが、同じサンデー系のステイゴールドだ。日本ダービーはディープブリランテがハナ差でかろうじてフェノーメノに勝利したが、皐月賞と菊花賞はゴールドシップに持っていかれた。
2013年を占う2歳戦では、キングカメハメハ産駒のコディーノが大物感を漂わせている。ディープインパクトも産駒の勝ち上がり率、昇級戦の内容ともに素晴らしい。また古馬戦線ではステイゴールド産駒の活躍が予想される。オルフェーヴルの現役続行が決まり、新たにゴールドシップ、フェノーメノが加わるからだ。
以上から判断する限り、2013年の中央競馬もディープインパクト、キングカメハメハ、ステイゴールドが重要な鍵を握ることになるだろう。サンデー系が依然優位で、種牡馬ランキングのベストテンに7頭前後は名を連ねると思われるが、ディープインパクトがステイゴールドに苦しめられたように、サンデー系同士が足を引っ張り合う「血のジレンマ」は、より激化する。
その間隙を突いて、キングカメハメハが再びリーディングサイヤーに返り咲くこともあるだろう。それ以外の非サンデー系種牡馬の「ゲリラ的な一撃」も、今後は増えるとみている。