スマートフォン版へ

2013年クラシック戦線を占う

  • 2013年01月11日(金) 12時00分
 2012年の中央競馬は、「ディープインパクト、キングカメハメハのリーディングサイヤー争い」と、この2頭の刺客となったステイゴールドの活躍」に集約される。

 キングカメハメハはサンデー系の牙城を突き崩し、前年まで2年連続のリーディングサイヤーに輝いた意地がある。最後の最後までディープインパクトに食らいついた。それを下支えしたのがダート路線の活躍である。

 前年までは芝のイメージが強かったが、血統構成そのものは欧州色が強く、パワーに富んでいる。産駒が冬季、雨季の荒れて力のいる芝や、道悪に強いことがそれを証明していた。

 その資質を2012年はダート路線でいかんなく発揮。タイセイレジェンド、ハタノヴァンクールを双璧に計6頭がダートで初重賞勝ちを飾った。前年まではゴールデンチケットのみ。それがたったの1年で7頭に増やした。このダート路線の開拓が最後までディープインパクトに独走を許さなかった要因である。

 もう1頭、ディープインパクトを牡馬クラシックで苦しめたのが、同じサンデー系のステイゴールドだ。日本ダービーはディープブリランテがハナ差でかろうじてフェノーメノに勝利したが、皐月賞と菊花賞はゴールドシップに持っていかれた。

 2013年を占う2歳戦では、キングカメハメハ産駒のコディーノが大物感を漂わせている。ディープインパクトも産駒の勝ち上がり率、昇級戦の内容ともに素晴らしい。また古馬戦線ではステイゴールド産駒の活躍が予想される。オルフェーヴルの現役続行が決まり、新たにゴールドシップ、フェノーメノが加わるからだ。

 以上から判断する限り、2013年の中央競馬もディープインパクト、キングカメハメハ、ステイゴールドが重要な鍵を握ることになるだろう。サンデー系が依然優位で、種牡馬ランキングのベストテンに7頭前後は名を連ねると思われるが、ディープインパクトがステイゴールドに苦しめられたように、サンデー系同士が足を引っ張り合う「血のジレンマ」は、より激化する。

 その間隙を突いて、キングカメハメハが再びリーディングサイヤーに返り咲くこともあるだろう。それ以外の非サンデー系種牡馬の「ゲリラ的な一撃」も、今後は増えるとみている。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング