雪で中止になる直前の中山第4レース(新馬戦)を、JRAのホームページで何度も見たが、各馬の動きを伝えてくれる実況がなければ、何が何だかさっぱりわからない。この視界ゼロに近い悪条件下、平然と、淡々と、各馬の位置を正確に伝えて実況し続けたアナウンサーは、ベストプレーヤー賞ものである。
勝ったガイヤースヴェルトは、ラスト1ハロンで先頭に躍り出ると、あとは激しい雪の中を独走状態。ゴールを駆け抜けたときは2着以下を7馬身も突き放していた。勝ちタイムは1分56秒5(ダ1800m)。重馬場だったことを考慮しても、水準を1秒近く上回っている。
これで思い出したのが、父のダイワメジャーだ。9年前の1月17日、デビュー2戦目を大差で初勝利したのが、くしくもガイヤースヴェルトと同じ中山ダ1800m戦だった。初戦を芝のマイルで惜敗し、2戦目をダートで圧勝したものである。
その勝ちタイムは1分56秒4。ガイヤースヴェルトとほぼ同タイムを、良馬場で叩き出したのだから凄い。その3か月後、10番人気で皐月賞に出たダイワメジャーは、名手ミルコ・デムーロを背に勝利し、単勝32.2倍の大穴をあけた。以後、名マイラーとして息の長い出世を遂げることになる。
ダイワメジャーは種牡馬となっても、遺伝力の確かなサンデー系らしく成功を収めている。産駒は仕上がりに優れ、2歳戦の勝ち上がり率も素晴らしい。種付料も初年度から強気だ。
しかしカレンブラックヒル以外は、全体にどうも成長力が頼りない。早く仕上がるがゆえに、2歳の早くから使いすぎ、ダイワメジャー本来の持ち味をそいでしまっている気がする。
ガイヤースヴェルトが大物に育つかどうかはわからない。しかし成長をじっくり待ち、年が明けてダートの中距離で大物感を示す馬こそが、本当のダイワメジャーらしさを漂わせている気がする。将来、父と同じ使い出し、使い方から、きっと大物が育つことだろう。それこそが血統というものだ。