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ハーツクライ産駒の活躍と花嫁探し

  • 2013年01月25日(金) 12時00分
 1月24日現在、驚いたことにハーツクライが総合種牡馬ランキングのトップに立っている。カポーティスター(日経新春杯)、フェイムゲーム(京成杯)が重賞を勝ち、アドマイヤラクティ、ステラロッサ、サクセスパシュートらが賞金の加算に貢献したものだ。

 まだ2013年の競馬は始まったばかりで、古馬、3歳馬の主力組は充電中。「鬼の居ぬ間に…」の感がないわけではないが、この上げ潮ムードを素直に喜びたい。

 ハーツクライはダービーでキングカメハメハの2着。ジャパンC2着を経て臨んだ4歳時の有馬記念で、無敗の三冠馬ディープインパクトを破り、初GI制覇を果たした。5歳時は海外へ挑戦。春のドバイシーマクラシックを勝ち、その夏、英国伝統の“キングジョージ”でも3着に健闘した。

 しかし、時代はすでにサンデーの成功種牡馬が満杯の状態で、加えて種牡馬入りがディープインパクトと同じ。社台グループの一級牝馬の多くがディープインパクトに向かい、そのぶんハーツクライは割を食うことになった。

 先週までの時点で、産駒の重賞勝ち馬は6頭出ている。その生産牧場の内訳は、ノーザンファーム3頭、社台ファーム2頭、社台コーポレーション白老ファーム1頭。つまり、すべて社台グループの生産馬だ。

 これは他の成功種牡馬にも共通しており、要は、社台グループの一級牝馬をどれだけ集めるかが、成功の大きな鍵を握っている。ディープインパクトに一級牝馬の多くを奪われたことは、ハーツクライにとっては誠に不運だった。サンデー系同士による「血の共食い」の犠牲者と言える。

 しかし、日高に売られたステイゴールドに比べれば、まだはるかに幸せな第二の人生のスタートだった。決め手にやや欠けるが、スタミナとパワーに優れ、海外の競馬に強かったという点では、そのステイゴールドによく似ている。産駒が荒れて力のいる冬季の芝に強いのも納得がいく。

 この上げ潮ムードを2月、3月、さらに春のGI戦線へとつないでほしいものだ。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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