1月24日現在、驚いたことにハーツクライが総合種牡馬ランキングのトップに立っている。カポーティスター(日経新春杯)、フェイムゲーム(京成杯)が重賞を勝ち、アドマイヤラクティ、ステラロッサ、サクセスパシュートらが賞金の加算に貢献したものだ。
まだ2013年の競馬は始まったばかりで、古馬、3歳馬の主力組は充電中。「鬼の居ぬ間に…」の感がないわけではないが、この上げ潮ムードを素直に喜びたい。
ハーツクライはダービーでキングカメハメハの2着。ジャパンC2着を経て臨んだ4歳時の有馬記念で、無敗の三冠馬ディープインパクトを破り、初GI制覇を果たした。5歳時は海外へ挑戦。春のドバイシーマクラシックを勝ち、その夏、英国伝統の“キングジョージ”でも3着に健闘した。
しかし、時代はすでにサンデーの成功種牡馬が満杯の状態で、加えて種牡馬入りがディープインパクトと同じ。社台グループの一級牝馬の多くがディープインパクトに向かい、そのぶんハーツクライは割を食うことになった。
先週までの時点で、産駒の重賞勝ち馬は6頭出ている。その生産牧場の内訳は、ノーザンファーム3頭、社台ファーム2頭、社台コーポレーション白老ファーム1頭。つまり、すべて社台グループの生産馬だ。
これは他の成功種牡馬にも共通しており、要は、社台グループの一級牝馬をどれだけ集めるかが、成功の大きな鍵を握っている。ディープインパクトに一級牝馬の多くを奪われたことは、ハーツクライにとっては誠に不運だった。サンデー系同士による「血の共食い」の犠牲者と言える。
しかし、日高に売られたステイゴールドに比べれば、まだはるかに幸せな第二の人生のスタートだった。決め手にやや欠けるが、スタミナとパワーに優れ、海外の競馬に強かったという点では、そのステイゴールドによく似ている。産駒が荒れて力のいる冬季の芝に強いのも納得がいく。
この上げ潮ムードを2月、3月、さらに春のGI戦線へとつないでほしいものだ。