スマートフォン版へ

格下の重賞競走

  • 2013年01月25日(金) 18時00分
 昨年12月7日付けの本コラムで「新設重賞ラッシュ」と題し、地方競馬IPATに対応すべく、特に佐賀では1月以降に新設重賞が増えたということを書いた。

 その佐賀の新設重賞だが、19日には3歳馬による筑紫野賞が行われ、26日には3歳以上の球磨川賞が行われる。

 ただその出走馬を見ると、球磨川賞出走馬の格付けはA2とA3。一方で翌27日行われる鶴見岳特別という特別競走の出走馬は最高格付のA1・A2となっている。1着賞金でも、球磨川賞が60万円なのに対して鶴見岳特別は80万円と、同じ3歳以上のレースでありながら、重賞より特別のほうが高い賞金設定となっている。

 そういえば地方競馬では90年代後半あたりまでだったか、条件クラスの重賞というのがいくつかの主催者で存在した。たとえば金沢にはA2クラスの重賞というのがあり、また上山(03年廃止)ではA級、B級、C級それぞれの重賞があった。そのほかの主催者にも、そうした最上位クラスではない格付けの重賞がいくつかあった。

 今でも一部に格付けを制限した重賞はある。たとえば名古屋では正月の1日に尾張名古屋杯、2日に新春盃、4日に名古屋記念と集中して行われた古馬重賞は、それぞれ距離は異なるものの、必ずしも上級クラスの馬が出たいレースに出走申込みできるというわけではない。

 こうしたことは、「地方競馬は格付けやレース体系がわかりにくい」と言われたことの要因で、地方同士の交流が進む中で徐々に改善されてはきた。

 馬券売上げアップのために地方競馬IPATに対する期待は大きいし、それで売上げを伸ばすことは、今や地方競馬にとっても中央競馬にとっても優先度の高い課題となっている。そのためにはさまざまに工夫をするべきで、主催者ごとに重賞開催日程をずらすなど、土曜重賞が増えたというのもそのひとつだろう。

 そいうわけで低額賞金の重賞ラッシュというのも頭ごなしに批判することはしたくないのだが、A2・A3クラスで1着賞金60万円という重賞があり、その翌日にはA1クラスで1着賞金80万円の特別が行われるというのは、ファンにとってみればいかにもわかりにくい。

 重賞競走の結果は記録として後々まで残るだけに、それなりのステータスのあるものを重賞とすべきではないだろうか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング