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ディープ劣勢!? マイナー種牡馬の台頭

  • 2013年02月01日(金) 12時00分
 JRAの1月の重賞全11レースが、先週で終了した。優勝馬の父はディープインパクトとハーツクライがそれぞれ2頭。他はダンスインザダーク、テイルオブザキャット、ロサード、オレハマッテルゼ、マンハッタンカフェ、アドマイヤマックス、ロージズインメイである。

 この中で非サンデー系はわずかに2頭しかいない。サンデー系が依然として優位だが、興味深いのはロサード、オレハマッテルゼ、アドマイヤマックスといったマイナー種牡馬の台頭が目立つ点だ。ロサード産駒のクラウンロゼが勝ったフェアリーSは、2着もオンファイア産駒のウキヨノカゼだった。

 例年、夏場や冬場のこの時季は、主力組はお休みの状態だから、マイナー種牡馬の台頭はよくあることだ。また、ディープインパクト産駒の3歳馬も、上の世代の主力牡馬がダービー以降に伸び悩んでいる反省からか、主力組の本格始動が全体に遅い。

 春になれば、おそらく状況は変わってくるだろう。ただ、サンデーのような遺伝力の確かな血統が誕生した場合、過去の欧米のサラブレッド史では、次世代にマイナー種牡馬の台頭が頻繁に起こっている。

 たとえ競走成績が下級でも、革命の血は種牡馬として成功の可能性が見込めるからだ。ミスタープロスペクターやダンジグがその好例だろう。サンデー系でもステイゴールドが同じ現象を見せている。

 競走成績が一流の種牡馬に対する期待と結果。そこにギャップが生じたときに、こういうことが起きやすい。

 サンデー系もすでにフジキセキ、ダンスインザダークはピークを過ぎている。アグネスタキオンの産駒もひところの勢いがない。ネオユニヴァース、ゼンノロブロイも伸び悩んでいる。ディープインパクトはリーディングサイヤーに輝いたが、先ほど書いたようにダービー以降の牡馬に不満が残る。

 それがマイナー種牡馬の台頭を招いている。単なる一時的な現象にすぎないのかもしれないが、血統はこれぐらいのほうが面白い。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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