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エーシントップ鞍上が“空白”になった舞台裏/吉田竜作マル秘週報

  • 2013年02月06日(水) 18時00分
 エージェント制の本格導入で騎手と厩舎の間に“ワンクッション”入るようになった近年は、この2者の関係がよりドライになった印象を受ける。そのため乗り替わりや騎乗馬の選択においても“昭和っぽさ”が消えてしまった。その典型例となってしまったのが重賞2勝を挙げ、現在関西の3歳馬では獲得賞金最高額を誇るエーシントップ(牡・西園)のある騒動だ。

 昨年暮れの朝日杯FSで8着に敗れた後、放牧も検討されたが、「オーナーサイドから『浜中にもう一度チャンスをやってくれ』と言われたこともあって」(西園調教師)年明けのシンザン記念にエントリー。見事に勝利を飾った。この時点でオーナー、厩舎、騎手サイドで春の進路が検討され「GII・ニュージーランドT(4月6日=中山芝外1600メートル)からGI・NHKマイルC(5月5日=東京芝1600メートル)を浜中で」という発表がなされたのだが…。鞍上が白紙になってしまったのだ。

「浜中のエージェントから『ニュージーランドTは乗れなくなりました』と言われてね」と西園調教師。キャンセルの理由が(ニュージーランドTと)同日のGII・阪神牝馬Sでハナズゴールに騎乗するためだった点がトレーナーを一層驚かせた。

「言葉は悪いけど古馬牝馬だよ。ヴィクトリアマイルがあるとはいえ、その先(に目標)があるかと言われると微妙だろう。僕らの常識ではデビューから手綱を取って、重賞まで勝った3歳馬を手放すほどの相手とは思えないんだよな」

 実際、第三者の某ベテラン調教師もこの決定を耳にして「俺たちの感覚では“ない”な」と…。

 調教師の大半はもちろん「昭和世代」。西園師を始め、多くのトレーナーが若いころから「厩舎関係者やオーナーに育ててもらった」という恩義を感じながら生きてきた。馬の選択においても、自分の意思以上に、周囲との関係に重点を置いていたようだ。今もそれが完全になくなったとは思わない。ただ「平成世代」の若手騎手と調教師の間に“ワンクッション”入ることで、自らが調教師やオーナーに頭を下げるといったシーンは確実に減った。

 騎乗に集中できるなどエージェント制導入のメリットは確かにある。が、本当にこれでいいのか? 欧米の契約文化と日本のそれとではまだまだ大きな隔たりがある。エージェントに頼りきりにならず、両サイドとも歩み寄ることができれば、無駄なあつれきが生じることもなくなると思うのだが…。

 ともかく、この事態でエーシントップの鞍上は空白に。果たして誰を背にニュージーランドTに向かうのか。そしてNHKマイルCの時には浜中の手に戻ってくるのか。しばらくこの人馬から目が離せそうにない。(※6日にニュージーランドT、NHKマイルCの鞍上が内田博幸騎手と発表されました)

※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。

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