一昨年11月、ディープブリランテの東京スポーツ杯2歳S勝ちに始まったディープインパクト旋風。明けて2月の共同通信杯まで、2歳と3歳の重賞レースは9つあったが、そのうち6つまでを勝つ凄まじさだった。
ところが、現3歳の重賞勝ち馬は、2歳の重賞を含めてもいまだゼロ。条件戦を勝ち上がっている良血馬が何頭もおり、3月のトライアル戦が始まれば状況が変わるだろうが、どうも現時点ではもたついている。
先週の共同通信杯。現3歳世代の重賞勝ち第1号になるかと思われたラウンドワールドも、1番人気で4着に沈んだ。
古馬はダノンバラード、トーセンラーらの復活劇が相次いでいる。ダノンシャークも初重賞勝ちを果たした。それと比べると現3歳は何だか頼りない。
代わって浮上したのがフジキセキだ。きさらぎ賞と共同通信杯は、近年、牡馬クラシックを占うにおいて重要なステップレースとなっている。今年、この2つを勝ったのはタマモベストプレイとメイケイペガスターで、いずれもフジキセキ産駒だった。
一昨年、サダムパテックが皐月賞で2着になって以降、産駒の勢いは急速にトーンダウン。高齢を迎えて、このまま終息に向かう雰囲気のフジキセキだったが、どっこい17歳時の種付けで出した現3歳が、相次いでクラシックに向けての重要なステップレースを制した。
他の重賞勝ち馬の父も、ローエングリン、オンファイア、ロサードなど多士済々。また充電中のエピファネイアの父はシンボリクリスエス、コディーノはキングカメハメハでともに非サンデー系だ。
果たして、現勢力図のままクラシック本番も決まっていくのか。それとも大一番に強いディープインパクトが、そうはさせじとトライアル戦、本番で盛り返すのか。
いずれにしても、今年のクラシック戦線の珍事は、ディープインパクトがつくり出していることだけは確かである。