スマートフォン版へ

真価が問われるディープインパクト産駒

  • 2013年03月01日(金) 12時00分
 いよいよクラシックのトライアル戦が始まる。その第1弾、今週の弥生賞は皐月賞に向けて、チューリップ賞は桜花賞に向けての重要なトライアル戦だ。3着馬までに優先出走権が与えられる。

 昨年のクラシック戦線で旋風を巻き起こしディープインパクトは、2月末までに重賞勝ち馬を6頭も(2歳の重賞も含む)送り出していた。ところが、今年の3歳世代はいまだにゼロ。勝ち上がり率、昇級戦の突破率は昨年と変わらぬ素晴らしさだが、いざ重賞となると勝ち切れない。

 その理由を、昨年のダービーで燃え尽きた産駒が目立った反省から、単に無理使いを避けているだけのことと考えていた。しかし、気がつくと本番まであとわずか。そろそろ勝たないとレベルそのものが疑われる。

 弥生賞には3頭、チューリップ賞には4頭が登録している。ディープインパクトを父に持つだけに、みな母系も優秀で血統背景は申し分ない。

 弥生賞で人気が予想されるのは、シンボリクリスエス産駒のエピファネイアと、キングカメハメハ産駒のコディーノ。現時点でディープインパクト産駒に抜けた存在がいないことを象徴している。

 ただ、先の2頭は賞金的には出走権を得ており、あくまでも本番前のひと叩き。何が何でも勝つという激しい競馬はしない。出走権をかけて臨むキズナ、カミノタサハラにも勝機はある。

 それでもエピファネイア、コディーノが上位を占めるなら、今年のディープインパクト産駒の牡馬は、全体にレベルが低いとみられても仕方がない。

 一方のチューリップ賞にはウォーエンブレム産駒で、阪神JFを制したローブティサージュが登録している。これにレッドオーヴァル以下のディープインパクト産駒がどう挑むかが焦点となる。

 ディープインパクトは牝馬のほうが信頼できる。ここで形勢が一気に逆転することもあるだろう。しかし、3着に1頭も入れないようではお先真っ暗。まだスプリングSやフィリーズレビューが控えているが、ここらあたりで何とか格好をつけておきたい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング